苦手を失くせ

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復活ノート

「苦手を失くせ」
「家族(親戚)に、医者と弁護士がいるほど心強いものはない」と言われます。
確かに、世渡りや体の憂いを取りのぞいてくれるのですから頼もしいことでしょう。
しかし、知りあいの女医さんは、自分の娘が病気になったとき、自分は診ることができず、「師匠に診てもらう」と言っていましたから、身内の場合は、近すぎて、客観的な(冷静な)態度を取りにくいのかもしれません。
経営についても、弁護士、経営コンサルタントなどと契約して、守りを固めます。
経営者が、自分の商品やサービスについては一家言があるのは当然ですが、その他の経営に関するものに苦手なものがあると、外部の専門家や社員に盲目的に任してしまいがちです。
私も、経理が苦手で、とにかく売上げを伸ばせば、経理社員が何とかしてくれるだろうと考えてしまいました(これではいけないと思い、入門書を何冊か読みましたが、自分の会社の経理は他人事のままでした)。
そして、売上げが伸びなくなったときは、その対策がわかりませんでした。
税理士に改善を指摘される部分は、今自分が一番力を入れている部分と重なることがよくありました。それが、後手に回る理由になり、経営が続かなくなったのです。
親や、何らかの指導者は、子供に対しては、「短所には目をつぶり、長所を伸ばせ」ということが言われます。長所を伸ばせば、自信がつき、短所は目立たなくなるというのです。
子供にとっては、それが真理だろうと思いますが、大人にとっては、弱点(苦手なもの)をいかに少なく、いかに軽微なものにするのが急務だと思います。
体のどこかが不調でも、元気な場所(たとえば胃をさらに伸ばすと(そんなことができるのかどうか)、体全体が元気になるというわけにはいきません。
経営においても、私の敗因がなるべくしてなったように、苦手なものから崩れていくように思います。
経営者にとって、経理や統率力だけでなく、話し下手や朝起きが苦手といったことでも、崩れる原因になります。
今は、ほとんどものが病気で死にますが、病気になった部分以外は健康だったはずです。そのように、売上げもまあまあだったのに、経費を見直さなかったばっかりに会社を閉めざるをえなかったということもあります(経験者から見れば、実にもったいないことです)。
だから、苦手なことは克服すべきです。苦手意識があれば腰が引けます。そうなれば、経理社員や営業社員の力を引きだすことができません。
新しい分野に乗りだすとき、事態が逼迫したとき、経営者の決断ですべてが決まるのです。
「治に居て乱を忘れず」という漢語がありますが、具体的に言えば、苦手なものを克服する努力のことだと思ってください。その努力が、自分の長所を伸ばすことにもなるのです。