光景

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復活ノート

「光景」
昔は「失敗しない」というタイトルのハウツー本が多かったように思います。
自動車免許の取り方、受験、経理などに、そのタイトルがついていました。
しかし、最近は、「失敗してもどう復活するか」という本が増えているような気がします。
テレビでも、どん底から這いあがった人のドキュメント番組は人気があります。今日(2月14日)の天声人語も、そういう内容です。
挫折や失敗も、幸せの要件と言っています。確かに同感ですが、挫折や失敗から、自分が何を学ぶかが大事です。
リストラ、倒産、病気などで立ち往生をしたときは辛いものです。
私も、会社を畳むときに善後策を話しあうために、弁護士事務所に通いましたが、同じ弁護士に頼んだ人が、その近くの駐車場で自殺したことがありました。
会社を失うようなときは、確かに濃い霧に包まれたようになりますから、進む道が見えないと慌てふためいたのでしょう。
もう少し霧が晴れるのを待ってもよかったのにと今さらながら思います。
もちろん、霧が晴れても、そこには長年の苦労で築きあげてきた日常はありません。
何もかも粉々になった、大地震のあとのような光景が広がっているだけです。そして、社員や家族の恨めしそうな目がこちらを見ています。
いや、それも幻で、ほんとは社員も、家族も、「よくがんばってくれました。何も気にしないで、ゆっくり休んでください」という言葉をかけてくれているのもしれません。
首を吊ろうとしている人も、今の光景が現実かどうかしばらく時間をかけることです。
私の経験でも、数年の間に、自分の前に広がる光景は、どんどん変わってきますから。
自分が変わってきているからです。そこを見極めることです。
そうなれば、復活しても、見栄で車を買ったり、女遊びにうつつをぬかすことはないでしょう。
私は、現在、文章を書くのがおもしろくて、ある意味では幸福な生活を送っていますが、もしある物が見つかれば、わずかながら持っている金を、それを使った商品開発に投資しようと思っています。
これで一発逆転ができるという下心がありますが、心のどこかに、以前のように仕事に忙殺されて、本当に幸福になれるだろうかという思いもあるのです。
これも、自分で、いろいろな光景を見てきたからかもしれません。
私は、復活をめざす経営者が新たな光景を見るお手伝いができたら本望です。