子供のためのビジネス
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復活ノート
「子供のためのビジネス」
ようやく結婚をしても、若い夫婦が、子供を持つことを躊躇(ちゅうちょ)するのはやむをえないことかもしれないようなことを聞きました。
ある主婦は、小学生の子供を二人持っていますが、子供を、学習塾や習いごと(水泳やダンス)に行かすためには、主人の給料だけではおっつかないので、パートに出ています。
まだ小学生だったら、勉強ぐらい親が教えたらどうですかと言うと、解答の仕方が、昔とちがうので親は教えられないと学校の教師から聞いたとのことでした。
だから、子供に「世間並み」の生活をさせるために、後ろ髪を引かれる思いで、介護施設で宿直勤務をしているというのです。
そんなことを聞いた未婚の同僚が、結婚、出産に及び腰になるのは仕方がないことかもしれません。
育児に大金をかけて、しかも同じことをしなければならないのです。「個性を伸ばす」を叫んでいた時代は、どこに行ったのでしょうか。
公立学校を利用して、学習塾をはじめるというニュースを聞いたとき、私は、暗澹たる気持ちになりました。
「出会い」こそ、人の人生を決めるものです。まず浮かぶのは、結婚相手でしょうが、その前後にある教育者と医者との出会いも大事です。
病気の治療だけでなく、共に苦しんだり、励ましたりしてくれる医者に出会えるほどうれしいことはないでしょうし、人格を決めるほどの影響力を持つ教育者との出会いは人生の幸運です。
貧富の格差、生活の低下、地球の破滅などいう、私たちの子供の時には聞いたことのない「八方ふさがり」の言葉が、マスコミや大人の口からあふれだす時代になったのに、親子は、孤立無援になっているのです。
育児放棄や虐待の大きな原因は、そこにあるのかもしれません。
「子供株式教室」もいいでしょう、キッザニアのように「職業体験遊園地」もいいでしょう、しかし、子供たちは、私たちが知らない世界を生きていかなければなりません。
子供が「生きる」ことを考えるきっかけを与えることを、一生のビジネスができないでしょうか。
親や教育者も道に迷っています。しかし、子供は、そう待てません。今こそチャンスです。