
未来
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復活ノート
「未来」
私は昔から集中力が欠如しています。今さら修行して欠点を直すことはできないので、それに合うような生き方をするように心がけています。
本を読むことが人生で一番の楽しみだと思うようになった今日この頃ですが(家でなくても、病院や施設に入るようになっても、24時間読書ができれば幸せだと思います)、自分の性格を考えて、同時に2,3冊の本を読むようにしています。
一日5,6ページぐらいしか集中できないので、同時なら一ヵ月後に2、3倍の達成感があるからです。
今は、メルヴィルの「白鯨」と大好きなマーク・トウェインの自伝を読んでいます。
「白鯨」は、以前途中であきらめたことがあります。メルヴィルの人となりは知りませんが、その文章は「イタイ」です。この本をささげられたナサニエル・ホーソンが嫌がったと言われているほどです。
何しろ、「白鯨」の白という色には気品と恐怖があるということで、森羅万象から延々とその例証を引っぱってくるのですから(白子の人は、見た目を背けさせ嫌悪の情をおこさせ・・・)などと書いています)。
しかし、これが最後の挑戦だと思って、文庫本で1日2,3ページずつ読んでいます(上・中・下あります)。
自伝のほうは抑えるのに困るほどおもしろいです。トム・ソーヤーもハックルベリー・フィンもマーク・トウェイン本人だということがわかりました。
1835年生まれですから、坂本龍馬と同級生です。アメリカは開拓時代ですから、「脱藩」など必要なく、食べるためにアメリカ全土を放浪します。
小学校を出てから、ミシシッピー川の水先案内人、印刷工、新聞記者、その間に金鉱堀りと何でもやっています。
その上、ニューヨークで万国博覧会が開かれていると聞けば、お金もないのに、世界や人間を見るためにでかけます。
彼は、人間観察をすることによって小説家になったのですが、相手に対する評価はなかなかのものです。
友だち、知りあいをつかまえて、「本来心臓があるべきところに何もなく、ただ穴がぽっかり開いているだけだ」といった調子です(11月には、5000ページの未発表の自伝が出るので、それまで、既刊の文庫本(上・下)を読んでおくつもりです)。
そして、現代に戻れば、日本だけでなく、マーク・トウェインが一攫千金を夢みたアメリカでも、若い人に仕事がなく、将来を考えることができなくなっています(菅候補は、「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と叫んでいますが、どうでしょうか)。
不況で企業がどんどん海外に出ていくのに何もしないのは、確かに政治家の責任なのでしょうが、自分の「未来」を切りひらく努力は怠らないでほしいものです。
マーク・トウェインも、いや、日本の若者も、社会が混乱しているときであっても、いや、そうだからこそ、がむしゃらに前に行こう、前に行こうとしました。
そして、「未来」は若者だけでなく、60才のおじいさんにも、80才のおばあさんにもあるのです。
そんなものはない、もう手遅れだと自分で決めつけることは生きている価値がないと思うですが、どうですか?もちろん、経営者もです。
それには冒険が必要です。マーク・トウェインは、「トム・ソーヤーの冒険」も、「ハックルベリー・フィンの冒険」も、子供のための読み物ではないと言っています。
大海やジャングルに行かずとも、冒険はできるということでしょうか。