{ }

復活ノート

「花」
今回は、「ビジネスの花」ということについて考えましょう。
私たちは、あの人には、「花」があるといいます。
タレントなども、「花」があれば、多くのファンを獲得することができます。
それは、どういうことをいうのでしょうか。たとえば、野球解説者が、このピッチャーの「玉は重い」とか「切れがある」などいいます。アナウンサーが、それは、どういう意味でしょうかと聞いても、なかなか説明しにくいようです。
実際、重い玉を使っていないでしょうし、シュートが鋭く曲がるという意味でもないようです。
「花」にも、そういうところがあります。しかし、人の「花」は、自分で考えていただくとして、ここでは、ビジネスの「花」について考えてみましょう。
「差別化」ということも考えている途中ですが、詳細は、そちらを見ていただくとして、「差別化」は、どんな商品・サービスを売るか、そして、「花」は、どのように売るかとしましょう。両方で、事業を支えていると思います。
私は、弁当や一品料理を作ることもしているので、勉強のために、スタッフと、よその店に行くことがあります。
ある有名なハンバーガーショップは、ある種のハンバーガーを、レンジで、「チン」しているのが見えますし、若い女性に人気の「ティールーム」でも、客の前で、レトルトに入ったジュースを、グラスに入れています。
ブランドを守るためには、「楽屋」を見せない配慮をすべきです。
また、ある有名なドーナッツのチェーン店は、3,4ヶ月オイルを変えないとか、ある居酒屋チェーンの料理は、全部外注ですが、徹底的に単価を安くしているとか、現場からの情報を耳にしますが、「知らぬが仏」です。とにかく見せない努力をすべきです。
つまり、「花」とは、「心地よさ」のことです。そのためには、客が感じる半歩先、一歩先をどうあらわすかを常に考えておくべきです。
以前、こんなことがありました。すし屋で、一人飲んでいたのですが、中年の男の客が、おずおずと入ってきて、近くにすわりました。
一人だからでしょうか、店員は、隅にすわるように言いました。すると、その客は、憤然と席を立って、店を出ていきました。
店員同士が、変な客だというように、顔を見あわせていましたが、私は、その客の心理がよくわかりました。多分、何回も躊躇したあと、勇気を出して入ってきたのですが、あまりの対応に緊張の糸が切れたのです。団体の客が来れば、席をゆずるのはやぶさかではないのに、どうして、自分の「勇気」(!)を認めてくれないのかということです。
一人で、店に入るのが、どうも苦手な人間がいるのです。
私も、そこには、何十回と来ていて、店員と冗談を交わすようになっていても、店に入るときは、気合を入れなければなりません。
一人一人の「客を見ること」、そして、その客の「心地よさ」をすばやく判断すること。これが、「花」を作りだすのです。
忙しくて、そんなことはできないと思っても、客はそれぞれちがうことを知っておくべきです。
こういう人見知りする客は、浮気をしませんし、やがて、知りあいを連れてくるでしょう。
ただし、「お帰りなさい」とか「いってらっしゃい」などという、勘ちがいしている店は、二度と行きませんが。
これは、店だけでなく、商品やサービスも売る事業もいっしょです。
まず、どんなときでも、自分の「楽屋」を見せないことを心がけましょう。