教え

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「教え」
ぼくが、鳥と話をしたとゆわれているフランチェスコ(フランシスコ)のような聖人になってもうたんやないか心配した?
他人のことをあんまり考えるような人間やないから心配せんでええ(性根が腐乱しているとはゆわれるけど)。
最近、朝早うから、カラスが家(うち)の前の電線に止まってうるさかったから、思いついた話や(ぼくが熱中症にやられそうやから、仲間を呼んだかもしれへんが)。
孫ができたためか、毎日、4つ、5つの童話が浮かぶ。このままでは100ぐらいすぐに書けてしまうので、今回はやめた(「人の風景100選」や「そうやった音頭」との釣り合いがとれなくなるし、一番書きたい「ムーズ版悪魔の辞典」をまだはじめてないしな)。
孫に、「おじいちゃん、(ゆうてることが)くさい!」ゆわれるのなんやし。
世の中は、あいかわらず方丈記の世界や。鴨長明が、地震や、火事や、飢饉やと騒いでから800年以上立つのに、人がむなしい思いをするのはいっしょや。地震や津波のメカニズムはわかっていても、何も変わらへんのやな。
それどころか、放射能がある。こいつは、800年でもなくならへんかもしれん。
原発を進めてきたのは政治家や。せやのに、食べ物、住むとこ、住む家など、何でも「自己責任」ですまされる時代や。とはゆうものの人の真似ばっかりしていると痛い目に会う。
こうゆうときは、エライぼんさんが民衆に生きる道を教えてくれたもんや。
せやけど、「善人なおもて往生をとぐ いわんや悪人をや」とか「他力本願」とかゆわれると、頭が痛くなる(善人と悪人は、考え方のちがいらしいで。自分は悪いことをしたことがないと思うている善人と、生きることは他人に迷惑をかけるもんやと自覚している悪人と。
また、2,30年ほど前まで、有名人が、「他力本願でやりました」などとゆうと、必ずどこかの坊さんが、「他力本願」の「他力」とは仏の力やとクレームをつけたが、最近は少なくなった)。
とにかく、どう生きるか考えているんやったら、知りあいの坊さんを紹介するわ。

わしは、旨加棒喰界(うまかぼう くうかい)という修行の者じゃ。
この混乱の時代を生きる術(すべ)を教えてほしいとな。
よろしい。わしが、千日の間、毎日8時間の昼寝をしただけで、一睡もせずに見つけた悟りを講じて進ぜよう。
「三無境」と申してな。「境」は、心境の境じゃ。基本は、自分の心身には何も困ったことがない、ほしいものがない、そして、自分の前に立ちふさがるものがないとゆうのが、「三無境」の真髄じゃ。何もないところに波風は立たぬとゆうことじゃな。そうすると、人は、自分らしく生きることができるのじゃ。
しかし、実際はそうはゆかぬ。病気や借金など、気がかりなものは誰でもある。それらが、心を乱して、あらぬことをさせてしまう。
世の中には、金持ち、ビンボー人、アホ、カシコといて、思うこともさまざまじゃ。
10億円しかないと嘆く金持ちも、10万円をどう工面しようかと悩むビンボー人も、しばしの間、自分には心身をさいなむものはないと思うのじゃ。
そうすると、ほしいものがなくなり、立ちふさるものもなくなる。それから、今後どうするかを、どう生きるかを考えるのじゃ。
これは、むかつくこと、腹が立つことも同じじゃ。それらをなきものとして忘れることじゃ。わざわざ自分を苦しめることはない。
しかしながら、わしも、まだ修行の身。まだまだ「三無の鏡」に到達しておらぬ。
あれがほしい、こいつが憎いと思うことがある。
昨日も、車を運転しているとき、大きな車に煽られて、頭の血管が切れそうになった。
確かに坂道では40キロしか出ないが、車とゆう「他力」(ちがったか!)で我を通すとは何ごとじゃ。
思わぬ金が入ったら、ハマー、それもH1を買い、目の前の車をけちらしたいものじゃ。
ついでに言えば、インプラント、しかもオールオンフォーで、若返って、祇園や新地でぶいぶいゆわしたいものじゃ。
いつ舌を入れられても、入れ歯をしていることがわからんじゃろ。いやいや、事故かなんぞで、人工呼吸をされるかもわからんという話じゃが。
いやいや、失礼した。ほしいものがないといっても、いるものはいる。それなら、正直に言ったらどうだ?
ハイブリッドカーを買いましたのよと言っても、補助金が出たからだろう?それで、いいことをしていると思っているのか。補助金がなくとも買うか?
そんな偽善の世の中なら、つぶれてもかまわん。仏もそう思うはずじゃ!

わっ、何この人、さっきから聞いていたら、途中から坊さんのような話し方になったと思っていたら、急にどなりだして。穏やかになったと安心していたら、突然大きな声を出して。
声がしなくなったので、外に出てみたら、真っ赤な顔をして倒れているやないの。体もぶるぶる震えている。誰か水をもってきて、この人にかけてちょうだい。

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