誤解

   

今日も、ムーズがやってきた~きみと漫才を~
「誤解」
日頃思っていることを話せということだけど、アタシにも事情があるから、お断りしたのよ。それでも、どうしても言うことだから、「オフレコ」ならと言ったんだけど。
それで思い出したけど、「アフレコ」と「アテレコ」のちがいをご存知?あら、やだ。最初から、へんなことを言って。
アタシらは、4,500年前から、いつも貴族のそばにいて、歴史を見てきましたの。
どうして、今、こんな極東のところにと思うことがあるけど、これも運命よ。
貴族にふさわしいお世話していただいているのに、不平不満は失礼よ。毎日、上等な肉や今流行のサプリメントまで用意してもらって。
ところで、不思議に思っていることがあって、前々からお聞きしたかったの。
日本の人って、混血が好きじゃない?え、鰐淵晴子や前田びばりかですって?お古いこと。それなのに、なぜ、アタシたちには、純血だとか血統書だとかおっしゃるのかしら?
日本人って、モンゴル系と南方系の雑種、いや混血でしょう?という口の悪い仲間もいるけど。それを言っちゃだめよ。
とにかく、アタシたちと皆様との間には、大きな誤解があって、それで、結ばれているような気がするわ。
皆様は、アタシたちを抱いて、目をつぶっていると、「うっとりしているわ。きっと私を好きなのね」と思っておられるでしょうが、アタシたちは、こわくて、こわくて、目を開けてられないだけなの。これは、仕方がないことなの。
でも、美しい誤解のおかげで、病気になると、点滴まで受けさせてくださるの。今までのお金で、マンションの一つや二つ買えたのにと、ご夫婦仲が悪くなった家庭もあるけど。
また、おうちで、たくさんの仲間をお世話していただくだけでなく、「いいことをしていると思っているのか」、「近所は困っているのだぞ」という非難を浴びながらも、寒空に震えている仲間に、お食事を用意してくださる方もいるの。
そんな人は、きまって人嫌いと公言されているのが辛いわ。でも、アタシたちには、そのような方をお助けしているという自負があるわ。
男友だちに、ハイデッガーを研究している哲学者がいるのだけど、先日、「従順は、裏切りの最高の形態である」というテーゼを出したものだから、今、アタシたちの中で、それについての議論で、「ニャンニャンがくがく」いや、「キャンキャンがくがく」、これもちがった、「かんかんがくがく」よ(「けんけんがくがく」というはまちがいらしいの)。
誰だって、誤解をしないと生きていけないのよ。そこに、アタシたちのリーゾンデートル(存在理由)があると思って、これからも贅沢させていただくわ。
お昼寝の時間だから、おしゃべりはここまでよ。最近、早く日が暮れて困るわ。
お前は誰かって?クレオパトラの猫として有名なエジプシャンマウよ。
みんな、アタシのことを「ソレイユ」って呼んでいるわ。

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