新しい国(6)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとにヘンな童話100選」の(160)
「新しい国」(6)
その声は、発電装置や駆動装置の修復に忙しいケンの耳にもすぐに届きました。
ケンは他の者に指示をした後、国民に話をすためにホールに行きました。
ホールには大勢の国民が詰めかけていました。みんな、今回のことを激しい声で話しています。
ケンやジョン、ベッティなどの代議員があらわれると、ホールは静まりかえりました。
「みなさん」ケンはすぐに話しかけました。「島は何者かに攻撃されたのはまちがいないようです。
とにかく、今スタッフが不眠不休で修復にとりかかっています。いつ動くようになるかはわかりませんが、3か月ぐらいで終えると考えています。
幸いモーターの心臓部の被害は少なく、致命的な破壊を免れました」
国民からは拍手が起きました。「それから、みなさんが一番ご心配されていることについてお話します」
聴衆は息をのんでケンの言葉を待った。
「私たちは、キネトピアという国を使ってもう二度と戦争が起きない世界を作ろうと決めました。
戦争は、領土の奪い合い、つまり、そこの天然資源やマンパワーを自分のものにしたいがためと、ただ相手を許さないという憎悪が引き起こしこともある。
電力ついては解決したのでほとんどの原因はなくなったのはまちがいない。
しかし、私は、まだ憎悪が残っていると思った。憎悪をなくすのか。
いや、人間が生きているかぎり憎悪はなくならない。それは自分たちの心に問いかけたらわかることだ。
しかし、それが戦争を引き超すのを止められるはずだとは確信する。
私の考えを聞いた人は、しかし、人類が破滅する寸前まで来ているのに、憎悪など持ちだす者はいるのかと疑問に思った。
私は、そうかもしれないが、もしそういう権力者がいて、核兵器を使えば今度こそ世界は終わりだ。そうならないために、私の希望を世界が聞いていくれるときに、できることをしようと思って、みなさんの協力で島を動かして、できるだけ多くの人と会って、憎悪を詰まらいものしようとしたわけです。
でも、こういうことが起きた。それは憎悪かもしれないが、平和についての考えがちがったからかもしれない」
そのとき、「ケン、きみの考えは分かった。しかし、これからどうしたらいいのだ?」老人が立ち上がって聞いた。
「一つの選択肢として、私の考えを述べます。私は島が動くようになったら、
今までのように世界から人々を招待して、今まで以上に理解していただきたいのです。
今までも、考えがちがうことに戸惑った人もいるでしょう。それは当然のことですが、その時には、自分たちは正しいことをしているのにをいうことを後ろ盾にしないでください。
誰だって、人類を、この地球を守ろうとしているはずです。その道筋に少し考えがちがうだけなのです」ケンの話は1時間近く続きました。
ホールにいた国民は、「さあ、明日からもがんばろう」という思いが今まで以上に生まれていました。

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