金色の花(1)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとにヘンな童話100選」の(146)
「金色の花」(1)
昔々のことです。なだらかな山がどこまでも広がる土地に、ゴルデアという国がありました。
国の真ん中には大きなお城があって、そのまわりには、赤や黄色の家が集まっています。
さらに、そのまわりは畑や牧場があります。人々が働いています。そう大きくはないのですが、いつも鳥は楽しそうに鳴いていますし、花も咲き乱れていますから、平和な国のようです。
お昼の鐘が鳴りました。人々は畑や牧場で腰を下ろしてご飯を食べはじめました。もちろん、家にいる人々も昼食を食べているでしょう。
いつもなら、ご飯の後は昼寝をしたり、広場に集まってダンスをする光景が見られます。
しかし、その日はちがいました。突然、お城の鐘が国中に響いたのです。「どうしたんだろう?さっきお昼の鐘が鳴ったばかりだし、夕方の鐘まで時間がある」と不思議に思いました。
「お祭りか?でも、春の祭りは3週間後のはずだが」
みんなてお互いの顔を見合わせました。どの顔にも不安そうな表情がありました。
杖をついた一人老人が立ちあがって、その杖を振りまわしながら叫びました。「戦争なんかじゃないぞ。この国は、何百年も戦争なんかしていないんだ。わしの父親も、その父親も、さらにその父親も戦争は知らないと言っていたからな」そして、その杖を
みんなうなずきました。この国に来る物売りも、「この国ほど平和な国はありません。王様がすばらしいからでしょうな。
大きな声では言えませんが、たいていの王様は、隣の国がちょっかいを出してきたから、戦争に備えろと大騒ぎします。
そして、勝つと、いや、何もなくとも、それはわしの手柄じゃと自慢しますが、負けたら、家来におまえたちがしっかりしないからじゃと叱るものです」と言っています。
それなら、このけたたましい鐘の鳴り方はどうしたのでしょう。人々は、家にいるものも、畑や牧場にいるものもお城に急ぎました。
もうすでに多くの人が集まっています。後から来た人は人々を押しのけ、どんどん前に行きました。
すると、大きな高札(こうさつ)が掲げられていました。人々はそれを大きな声で読んだり、隣の人と話したりしていました。
そこには、「山のどこかにあると言われている金色の花をもってきてくれたら、、わしの娘と結婚して、この国を治めることができる」と書いてあって、その横には、その花の絵が描いてありました。確かに金色の花びらです。しかし、花びらの形がよくわかりません。
というのも、その花は王様の夢に出てきたのと、あまりにも光が強いので、その形までよくわからなかったそうです。
夢の中には神様も出てきて、「この花をもて来たものに、娘も国もやればいい。そうすると、この国はいつまでも安泰じゃ」と言って消えたそうです。
「あのかわいいお姫様とこの国がもらえるのか」人々は興奮しました。
「でも、わしは無理じゃ。妻も子供もいからな」、「でも、金色の花など聞いたことがない」と、どこでも、この話でもちきりです。
としよりにも尋ねました。しかし、どのとしよりも、「金色の花など聞いたことがない。黄色ではいけないのか。ひまわりやアカシアの花は黄色いぞ」と答えるだけでした。
それから、山に行くもの。図書館に籠るもの。中には、仕事をしないでよその国に行くものも出てきました。

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