チュー吉の夢

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとはヘンな童話100選」の(9)
「チュー吉の夢」
「ママ、聞きたいことがあるんだけど」
「またなの?チュー吉。おまえが、人間の子供はミッキーマウスが好きだから、そのモデルのぼくたちも好きにちがいないなどといって、友だちを誘っては、昼日中でも人間の子供部屋に行くもんだから、たいへんなことになったじゃないの」
「あれは少し急ぎすぎただけだよ」
「でも、人間は、私たちを捕まえるために、毒入りの食べものやホイホイなどをどんどん置くようになって、仲間の犠牲が増えたのよ」
「ごめんといっているでしょ!」
「おかげで、買物や寄り合いにいっても、あんたの子供のせいで、こんなことになってと言われて、穴でもあったら入りたい気持ちよ。もっとも、穴を見つけるのは得意だけどね」
「ママに迷惑をかけたのは申しわけないと思っている」
「この前、人間と一緒にテレビを見ていると、久しぶりに『テツアンドトモ』が出ていたわ。
最近は『タカアンドトシ」にまちがわれる』が「ツカミ」のようで、チュー、チュー大笑いしたわ。
それから、「なんでかな~」と歌いながらクネクネ踊るテツのママは、『我が子ながら、あんたはキモイ』というらしいよ。あんたも、ママにそう思われないようにしなくちゃね」
「長っ!ママにそんなこと言われると、ぼくも立つ瀬がないよ」
「それは冗談だけど、この世は、ネズミと頭の黒いネズミしかいないのだから、そうそう無理をしなくてもいいのよ。これだけはゆうとくわな、うん、うん」
「古っ!前足を口に当てて、香川登志緒のマネ?」
「おまえも、古いことして知っているね」
「そんなことどうでもいいよ。とにかく、この世には、ぼくらだけじゃなくて、犬、ネコ、ヘビと、いくらでもいるよ」
「例えよ。世のことなど何も知らないくせに」
「ママ、また人間からくすねたお酒を飲んでいるでしょう」
「飲まなくちゃやっていけないからね。あ、思いだした。何が聞きたいのよ?」
「ちゃんと聞いてよ。今、人間の世界は不況で苦しいらしいよ。ぼくらがいただく食べものもけちくさいもんね。また、なんでもシェアリングなんだ」
「何?そのイカリングって?」
「どこが似ているんだ。イカリングじゃないよ。シェリング! 節約するために、車でも、家でも、一つのものを複数で使うことなんだ」
「そんなことは、今に始まったことじゃないよ。わたしらは、昔から、家を、人間とイカリング、ちがった、シェアリングしているもの」
「そうだけど、人間は、そうは思ってないよ。家賃を払っていないもの。それで、少しは役に立つために、考えていることがあるんだ」
「また、それか?」
「今度は大丈夫。人間の前に姿をあらわさずにできることなんだ。人間は、ぼくらを見ることが嫌でたまらないことはわかったから」
「どんなこと?」
「うん、人間は、地震も怖いようだ。ちょっと家が揺れると、キャーていう声が、天井まで聞こえるもん。
幸い、ぼくらは、地震が前もってわかるから、そのときに、天井で、大きな音を立てたり、チューチュー鳴いたりするんだ。
『そういえば、地震の前にネズミが鳴いたな』といううわさが広がれば、ぼくらの同居を認めてくれるようになると思うんだ。人間を助けることもなるしね」
「子供の前に顔を出すというアイデアよりはいいけど、頭の黒いネズミは、自分が思うようにならなければ、仲間にも腹いせをするようだから、よほど気をつけなくちゃね」
「わかっているよ。絶対にママの名誉挽回をするから」
「その時は、また祝杯をあげなくちゃね」
「ママったら」

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