リセットビジネス

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復活ノート

「リセットビジネス」
山中教授のノーベル賞受賞は、誰にとっても喜びです。
仕事柄、「脊損」や「筋ジス」の若い人を大勢知っていますので、早く臨床実験が行われることを望みます(「筋ジス」は、新薬ができたとかで、治療が一歩進んだようです)。
体育の授業での事故で「脊損」になった人は、歩けるようになったときのための筋肉をつけておくと頑張っています。
これくらいみんなに希望を与える発見はそうなかったでしょう(それをうらやましく思ったのかどうかは知りませんが、「自分が世界初のiPS細胞を使った手術をした」という人があらわれる始末です)。
よく知られているように、この発見は、同時に受賞された人が、オタマジャクシを使った実験で、普通の細胞にもすべての細胞に変わる能力があることを証明し、その後、クローン牛の誕生を経てなされたものです。
素人にはよくわかりませんが、ひらめきの前には、「ハードワーク」に耐えなければならないようです(山中教授の先輩にあたる福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」にも、本人のアメリカでの研究生活が描かれています)。
山中教授が日本に帰ってきて、予算をもらおうとしても、国側や大学側は、口にこそ出さなくても、「できっこない」という態度だったようです。
世界の天才でもできなかったのだ、また、人間は、オタマジャクシや牛とちがうのだということだったのでしょうか(それに、クローン牛ができたとき、人間に応用するときの倫理的側面が問題になったことが、この研究に二の足を踏ませたのでしょうか)。
とにかく、この発見が、人々を助けるようになれば、大きなビジネスになります。そうなれば、雇用を生みますので、日本も一息つくかもしれません(今、大手電機メーカーの人切りはすさまじいものがあるようです)。
私たちは、オタマジャクシや牛にできたのなら、必ず人間にもできるはずだという信念を曲げなかった山中教授から何を学ぶか。
それは、頭をリセットすることです。最初どこの大学からも相手にされなかったということですから、採用されない理由がどんどん頭に入ってくるはずです。つまり、それを取りのぞかなければ、自由な思考は生まれないのです。
私たちも、いわゆる先入観とか、誰かから聞いたことで頭がいっぱいになり、自滅したのです。
失敗は、私たち中小企業の経営者だけでなく、誰にも起こります。「やりなおせ、生きなおせ」と励まされるけど、どうしたらいいかわからないものです。だから、同じ失敗を繰りかえして、世間を恨むようになるのです。
体と心というハードウェアは可能性があるのだから(心も!)、ソフトウェアだけをリセット(初期化)すれば、どれだけすばらしい人生を送れるかということをテーマにしたビジネスはどうですか。さあ、頭をリセットして考えてください。