未知の領域
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復活ノート
「未知の領域」
風が吹けば桶屋が儲かるといいます。
ご承知のように、ある出来事が予期せぬことを産むたとえに使われます。
私は山奥で育ちましたが、当時、商売をしている家は、その屋号や商売そのもので呼ばれていました。
一地区には、基本的には同じ商売をする家は一軒しかなかったので、米屋、下駄屋といえば、どの家かすぐにわかるのです。もちろん、桶屋もありました。店の様子はよくおぼえています。私の同級生の家だからです。
風もよく吹きましたが、そんなに裕福ではなく、家業はおじいさんでやめ(奥で桶を作っていました)、父親は郵便局に勤めました。
だから、元々因果関係が少ないうえに、今なら、風で目に砂が入っても、眼科に行けば大丈夫ですから、「考えが浅い」とか「こじつけ」という意味と解したほうがいいのかもしれません。
しかし、世の中は無数の流れでできてまちがいありません。
消防車が近くに止まれば飛びだしますし、うまいと評判のラーメン屋には行列ができます。
ある企業が何か画期的なものを作れば、どんどん株価は上がりますし、その逆もあります。
景気の先行きは見えませんが、経済はグローバル化していますので、小手先のようなことをしても、流れを止めたり、方向を変えたりすることは容易ではありません。
「エコ減税」もそうだったのでしょう。「子供手当」も不況に苦しむ国民を助け、あわよくば、出生率が上がればということだったのでしょうが、「これでしばらくがんばってください」と説明をしないので、貰うほうでも、「えっ、いいの。お宅も苦しいのに」と、政府の意図を理解できないのです。
管首相は、「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と叫び、「有言実行内閣」を標榜していますが、雇用も(短大女子は20%程度しか就職が決まっていないそうです)、経済の一部ですから、経済の動きがないかぎり、「新卒を卒後3年間」などとしても意味がありません。
「法人税減税」をするじゃないかといわれても、アイルランド、韓国、シンガポールなどはすでに30%前後の税率にしています(日本は40%)。
確かにそういう国のほとんどは経済が脆弱ですが、だからこそ、思いきったことができたのでしょう。
外国からは、「日本は、少子高齢化が経済の足を引っぱっている。世界が経験したことのない未知の領域に入った」と論評されています。
「少子」でも、仕事につけない青年があふれているのです。
「日本は経済大国。しかも、いつかは好景気になる」と安閑としていては、「衰退の沼」から出てこらなくなります。
思いきったことを(期限を切ってでも)、しかも、国民に説明する施政者こそ渇望されているときです。
それは、私たちにも言えることです。社員だけでなく、奥さん、子供にもちゃんと説明してきましたか。
人生も、ビジネスも、常に「未知の領域」が待ちかまえていて、それを切りひらくのは、あなただけの力ではできないからです。