本物
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復活ノート
「本物」
突然ですが私は毎日魚を食べています。特に刺身は欠かしたことがありません。
それで、今まで体がもっているのかどうかわかりませんが、安心感はあります。
最近、生わさびをもらったので、久しぶりに食べたのですが、まあ、おいしいこと。
魚もさらにおいしくになりました。今までパックについている小袋やチューブのわさびを無意識に使っていたのですが、もうそんなものは使えません。
少し値が張りますが、今後はわさびをおろすのを儀式にして刺身をいただくことにします(おろすには1分もかかりません)。
それでは小袋やチューブのわさびとはどういうものでしょうか。
本物に似せて、しかも、安価でどこにでも運べるという、まさに文明的と言えるものでしょうが、それは文明ではないという人もいます。
自生のわさびなどは貴重品ですが、せめて、「わさび田」でできて八百屋で売られているものを食べるのが文明だと言い張る人もいるでしょう。
最近、有名なレストランなどで出される料理を、どこの家庭にでもある食材や調味料を使って再現させるというテレビ番組がありますが、あれが文明の一面なのかもしれません。
それは大量生産と結びついています。とにかく、休むことなく同じものを作らなければならないのですから。食べものだけでなく、車やテレビ、パソコンなどの工業製品のように。
しかし、先ほど言いましたように、それに飽きた人も増えてきました。もちろん、「世界に一つしかない」ものはお金をかければ手に入れられるでしょうが、
「あの時」や「あの場所」はどうでしょうか。
私が今「あの場所」として行きたいのは映画館です。そこで、「ブーベの恋人」を見たいのです。
もちろん、20代のセンチメントには戻れませんが、あの暗闇が昔に戻してくれるような気がします。大型テレビでは無理です。
これが、多少お金を払ってでも手に入れたい「その場所」であり、「その時」です。
ネットで調べてみましたがそのような映画館はありません。当時のヨーロッパ映画は見向きもされなくなったのでしょうか。
「ひまわり」、「道」そして、「太陽がいっぱい」などもビデオでは見たくありません。
映画だけでなく、物やサービスなどでも、「その時」や「その場所」を加えるビジネスはどうでしょう。
つまり、その人にとって、「本物」に近いものです。もちろん、「あなた一人に」は高額ですから、ある程度の人数が求めている商品やサービスを提供すれば、すぐに安定するビジネスとなるでしょう。