のほほん丸の冒険
第1章107
三上さんと佐藤さんは朝早く奥さんの家に来た。奥さんは丁寧に昨日の礼を言った。
佐藤さんは、昨日の追跡の説明をした。「おれもあの近くで働いたことがあるので、大体の様子は分かる。白石は物流と預かりをやっている。昨日の荷物はすぐにどこかには送るのか、しばらく保管するのかは分からない。
それによって、こちらがすぐに動かなければならないのか。あるいは時間をかけてもいいのか対応が変わってくる」
「すぐにどこかに運ぶかかもしれないのですね」しゃかりき丸が聞いた。
「そうなんだよ。そうなると分からなくなる」
みんな黙った。今までうまくいっていたのに、また別のところに行ってしまうかもしれないのだ。
「あの別荘はどこが借りていたんだっけ」三上さんがぼくに聞いた。
「不動産屋から聞いたところでは、借り主は菱和貿易です。しかし、世界的な商社ですから、そこに聞いても教えてもらえないと思います。
そこで、ミチコさんの友だちが調べてくれていますが、犯罪を犯すような関連会社ではなさそうです」
「そうだな。もしそうなら、まったく関係がないところに頼むよな。奥さんは警察に今回のことを説明したんですよね」三上さんが聞いた。
「別荘の写真を持って行きました。話は聞いてくれたのですが、『また連絡します』と言うことで」
「証拠にならないというのかな。トリカブトはあちこち生えているからな」
「どうでしょうか」
その時、佐藤さんが言った。「あれから考えていたことがあるんだけど、おれがは白石に努めるようにしたらどうかな」
「おまえが務めると言うのか」三上さんが驚いて言った。
「そうだ。バイトで」
「でもお前は仕事があるじゃないか」
「これが解決するまで休むよ」
「それはやめてください」奥さんがすぐ止めた。
「申しわけないけど、悪いやつを掴まえることができると思うと何だか興奮してきたんだよ。仕事は少しの間なら休めるから」
「バイトするとしたら、倉庫ではどうするんだ」三上さんが聞いた。
「どこかに運ばれてしまえば終わりだから、今日でも申し込んでくる。最近は運送業界も人手不足だから、何とかなるよ」佐藤さんは考えを変えないような
態度だった。
「そこまで言うのなら、おまえに任すよ。でも、すぐに運ぶのと一預かりの2種類があるんだな」
「そうだ。あの荷物がどっちか分からないので探すしかない」
「新人にそんな時間があるのか」
「まあ、やってみる」
ぼくは自分の考えを言うことにした。「今までのことを考えると、急に別荘を解約したと思います。
まず、すぐに運ぶのなら、関東一円に運ぶところに置いているような気がします。今まで関係がある会社は首都圏にありました。
しかし、かなり荷物は多いのでとりあえず一時預かりにしたのではないかと思います」
「そうか。きみが言うとおりだな。首都圏エリアを見る。その次に一時預かりを調べる。さすが探偵だ」佐藤さんは納得してくれた。
「しかし、そんな時間があるのか」三上さんはまだ心配していた。
「最初センターの中を教えてくれるはずだ。その時に全部見る」
話は終った。佐藤さんはすでに履歴書を書いていて、そのまま白石流通センターに走った。
その晩佐藤さんは無事に採用になったという連絡が来た。経験があるので明日から仕事をしてほしいとなったそうだ。
ぼくらは佐藤さんからの連絡を待った。二日後連絡が来た。「見つけたぞ。やはり一時預かりにあった」佐藤さんの声は弾んでいた。