ハッピーターン
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復活ノート
「ハッピーターン」
前回言ったように、1000円以下でTシャツ、シャツ、ズボン(もちろん、みんな新品です)を買って、「ちょい悪おやじ、神戸を歩く」をやってきました。
ただし、神戸は月2回ぐらい行っています。
歯磨きやシャンプーなどが、今活動している町より半値近くで買えるのですから、六甲山を越えるための料金200円(昼間は150円)を出しても行かなきゃ損です。
しかし、しょっちゅう行っていても、都会はどんどん変わっています。
元町近くに、「無料カフェ」なるものができていました。ある有名な「あられ屋」が開いているのですが(すでに東京や名古屋にもあるようですが)、講釈つきのコーヒーやジュース、自社のあられを自由に飲み食いできます。
なかなかおしゃれで、「あられはお皿に一回だけ」と書いてありますが、何回もお代わりする人もいます(もちろん「割れせん」ですが)。
ぼくが子供時代を送った戦後すぐなら、子供だけでなく、大人でも血眼(ちまなこ)になって食べたでしょうが、現在では、不況といえども、そんなことをする人はいません。
ホームレスらしきおっちゃんも、のんびりとコーヒーとあられを楽しんでいます。
おしゃれな雰囲気ですが、壁には経営者の主張を書いた垂れ幕があります。
曰く、「これからどうするかは天皇陛下に聞け」、曰く、「金儲けするやつは、女にもてたいだけ」など。
字面の奥には諧謔が潜んでいると思いますが、とにかく、コーヒーとあられが無料なのがありがたいです(コーヒーにはハンバーガーかケーキでしょ?と思う人は、近くのマクドかスタバへどうぞ)。
もちろん、その店で、あられを買うこともできます。そのための「サビキ釣り」商法ともいえます。
この会社は、全国の企業に、「あられ一缶」を送る戦略を取っていますから、店の人件費や家賃は、その経費の一部を回しているのかもしれません。
昔、世の中にラジオが出てきたとき、吉本興業は、ラジオに芸人が出ると、寄席に客が来ないと禁止令を出したそうですが、いろいろあった後、ラジオで笑った者が、「ほんまもん」を見たいと寄席に押しよせたといいます。
それで、売上げが伸びたらうれしいです(また、来ることができますから)。
実は、その日の午前中、弁当の配達をしているとき、道の真ん中で車が動かなくなりました。
困っていると、どこかのお兄ちゃんが自分の車から降りてきて、「押しましょか」とやさしい言葉をかけてくれました。
「ありがとうございます。でも、シフトが動かないんですよ」と言うと、「ぼくがやります」と言って乗りこむと、すぐにDからPにしてくれました。
「こういときは、キーをACCに戻すと動きますよ」と教えてくれました(40年以上車に乗っているのに知りませんでした。今度は立ち往生している人を必ず助けます)。
なお、故障の原因はタイミングベルトが切れたことです(懇意にしている修理工場から、「耐用距離が過ぎていますよ」と、何回も忠告されていたので、案の定ということです。
修理工工場も、無料で代車を貸してくれました)。
そして、のんびりコーヒーを飲んでいるとき、2年間考えていた、ある「大発明」が、パッとまとまりました(今、長女の友だちの画家に頼んで、弁理士事務所にもっていくイラストを描いてもらっています)。
ハッピーなら、頭もシフトするようです。
「ぼくに助けを求めないから不況から出られないんだ」などいう、負け犬の妄想をやめて、ハッピーなことを考えます。
「ハッピーターン」というせんべいは、当時の不況(第一次オイルショック)から脱して、またハッピーが来るようにと命名されたとか(外人には通じないでしょうが)。
その気持ちが、ロングヒットの商品にさせたのかもしれません。
ハッピーでないと思うのなら、身の回りにあるハッピーを見つけだすことです。
どんな小さなハッピーでも、心は喜ぶような気がします。