今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「脇」
もう60年ほど前になるかなあ。母親は肺を病んでずっと入院していたし、兄弟もいなかったので毎日寂しかった。
おばあちゃんに育ててもらっていたけど(そのころのおばあちゃんの年を計算したら60才ぐらいや。えらい年寄りのような気がしたけど)、とにかく愛情に飢えていたのやろな。
学校の女の先生にそれが向かった。特に小学1年、2年の担任はまちがいなく女の先生やったから、毎日楽しくて仕方なかった(日曜日に学校に行ったことが何回もある。時間割はどこを見たんやろ)。
休み時間になると担任の藤本先生にひっついていた。下から、「なあ、なあ。先生」ゆうて見あげると、先生の腋毛が見えた(昔は若い女でも腋毛を剃ることはなかったようや)。
2年のとき、藤本先生が赤ちゃんを産むというので休むことになった。これからどないなるんやろと心配していたら、もっと若い女の先生が代理で来た。
ぼくはすぐ藤本先生のことを忘れた。そして、新しい先生に、「先生は、なんで名前が二つあるんや」などと言ってべたべたしたもんや(苗字が「金子」やったんや。下の名前は忘れたけど、苗字に「子」がついているなんて思いもつかんかった)。
とにかく金子先生も下から見あげていると、嗅いだことのないにおいがした。後年分かったが、「わきが」のにおいやったんやな(最近はいろいろ治療方法があるようやけど、昔の人は辛かったやろな)。
あっ、こんな話をするするつもりはなかったんや。「脇が甘い」にムーズしようとすると、頭の辞書に「わきが」が出てしもうた。
最近、脇が甘いのがぞろぞろ出てくるな。アイドル、元プロ野球選手、政治家、家電メーカー・・・。
アイドルの相手の「ゲス」仲間が、「いろいろ言うやつがいるけど、あまえらも脛に疵をもっているのとちがうのか」と仲間の擁護をしていたけど、確かにそれは言える。
清原のことで、田代まさしが、「清原はこれから何回もやりますよ。絶対やめられないですから」と自分の弁護もついでに入れてゆうていたけど、同じ疵をもつ先輩がゆうのやからまちがいないやろ。
アイドルは30を越しているけど、今どきの女性にしてはおぼこすぎただけやろ(しかも、芸能界にいてな)。
甘利という政治家は、原発関連からもすごい献金をもらっているようやけど、金が好きなんやろ。
粉飾決算はある程度どこでもやっているけど(商社の決算はえげつない。身内で動かすだけで、売上げにしている)、東芝は規模がちがうた(公認会計士の責任は重い)。
こんなことをゆうぼくも、何を隠そう、腋が甘くなって失敗したほうやから、田代まさしのことゆえんわ。
「脇が甘い」は、相撲から来た言葉やけど、脇に腕を入れてくる相手がいなかったら、何をしようが気にする必要はない。
しかし、有名人は、脇が甘いと、警察、マスコミ、それらの背後にいる社会にがっちり組まれてしまう。
脇が甘くなる前に、つまり、見つからんうちにやめることは、どんなことでもむずかしいもんや。
それなら、最初からせんかったらええのにとゆわれそうやけど、してしまったんやな。それが人間で、脇が甘くなるのも人間や。
みんなそんなに有名人になれると思わんけど、脇をしめる練習をしとこか。
肩こらん程度に。

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