ピノールの一生(36)

   

「ほんとにヘンな童話100選」の(149)
「ピノールの一生」(36)
しかし、ヘリコプターでアルモニー島を回ってみましたが、どこも同じように煙が上がっています。すべて焼き尽くされたようです。ロボットらしきものは、あちこちで3,4人固まっていますが、人間は見えません。
「一気に襲ったようだな」ティートが言いました。
「島にいた富裕層はヘブン島のことを聞いてすぐに逃げたようですね」人間の警官が説明しました。
「犠牲になった人間はいないのですか?」ピノールが聞きました。
「数人乗り残されているようですが、ここの警察が今取り戻そうとしているようです」
「じゃ、すぐにそこに連れていってください」
「待て!ピノール」
「どうするんだ」
「さっき聞いたけど、首謀者らしきものはすでに逃走したようだからそちらのことを考えよう。暴れているロボットはそそのかされたロボットだから、すぐに制圧されるよ」
「しかし・・・」
「きみの気持ちはわかるが、世界のことを考えよう。人間とロボットとの戦いを解決できるのはきみしかいないのだから」ティートもピノールに言いました。
「そうですよ。人間が悪いに決まっていますが、ロボットにも少し待ってもらいたいのです。そのためにはあなたたちにがんばっていただきたいのです」若い警官は涙声で訴えました。
「そうですね。人間とロボットがいがみあうばかりでは何も解決しませんものね」ピノールはようやく同意しました。
そのとき、人間の警察官に無線が入りました。
「10人近くが乗った船が猛スピードで出ていったそうです。島に逗留していた人間が自分の船が乗っとられたと連絡してきたそうです」
「ロボットですか?」ピノールが聞きました。
「それはわからないそうです」
「どこに向かったかわかりますか?」
「はい。西の方角です」
「そちらに行けませんか?」
「燃料のことがあるので。ちょっと待ってください。パイロットに聞いてみます」若い警官は操縦室に急ぎました、、
警官はすぐに戻ってきて、「帰りのことがあるので、直線距離200キロぐらいなら行けそうです。それ以上はちょっと」
「それでかまいません。行けるところまでお願いします。何かわかるかもしれませんので」
警官が連絡すると、ヘリコプターは急旋回して、西に進路を変ました。
途中、島から逃げている人間が乗った船があちこち見えたので、すべて確認しながら探しました。
2時間後、猛スピードで進んでいる船を見つけました。ヘリコプターは確認するために、高度を落としてすぐそばまで近づきました。
すると、ドーンという大きな音とともに、黒いものが向かってきました。
「危ない」チィートが叫びました。ヘリコプターは、急激に高度を上げるとともに、方向を変えました。なんとか当たらずにすみました。
しかし、銃撃は続きました。当たれば墜落するかもしれないので、さらに上がりました。
冷静に船を見ていたエトーレは、「やはりケイロンがいる。まちがいない」とみんなに言いました。
「なんだって!」ピノールが叫びました。
「それならモイラモいるのか」
そのとき、、船からものすごい煙が上がりだしました。まるで、火山の噴火のようです。
「爆発か」チィートが大きな声で言いました。
「いや。これは敵から身を守るための作戦だと思います」警官が解説しました。
「今まで見たことはありませんが、最新の船にはこのようなものがついているそうです」
確かに、煙は上に上がるだけでなく、四方八方にももくもくと広がりました。、船がどこにいるかわからなくなりました。
「船は止まっているのか」
「多分そうだろう。でも、やみくもに攻撃されたらいずれ当たるのじゃないか」チィートが言いました。
「いや。船は会場にはいませんよ」
「どういうことですか?」
「船はすでに潜ったはずです。潜水艦になるためにあのような煙を出すのです」
銃撃がないので、ヘリコプターは、ゆっくり高度を下げて、船のほうに近づきました。
しかし、まだ煙で全く分かりません。「これからどうなるのですか」
「多分、船が充満していて、船は見えませんが、警察官が言ったように、すでに潜っているのかもしれません。。
「探知することはできますから、海軍に連絡するように本部に伝えました」
しかし、これ以上は待てないので、ヘリコプターはヘブン島に戻ることになりました。
しかし、数日待っても、潜水艦から出る電波が見つからないというのです。
ロボットは酸素が不要なので、ケイロンたちはどこかの海底にひそんでいるかもしれないとピノールたちは考えました。、
島だけでなく、大陸の大都市でもロボットの暴動がはじまりました。

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