ピノールの一生(35)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとにヘンな童話100選」の(148)
「ピノールの一生」(35)
ピノールたちは島を守る警察に事情を説明することにしました、
警察に行くと、3人は大歓迎です。署長自ら出てきて、「よく来てくれたなあ。きみらのおかげで助かったよ」と挨拶してくれました。
3人は署長室で話をしました。そして、「ここについてきているロボットは洗脳されただけです。どうか許していただきたい」と頭を下げました。
「今回の事件では、きみらのおかげで一人の犠牲者も出さずにすんだ。きみらがいなかったらと思うとぞっとする。
それは、ここに滞在している人々も全員そう思っている。何しろ、ここにいる人は世界でも有数の富裕層ばかりだから、もし何かあったら、世界に大きな影響が出るのはまちがいない。
さっそく、きみらが調べてきたことを人々に話すよ。これで人々の不安を取りのぞけると、この島から出ていくことも無いだろう」
「そうですね。ぼくらとちがって最高のロボットばかりですから、これからも忠実に仕事をするはずです。彼らは反省しています」
「わかった。扇動されたロボットは処罰しないことにする。そのかわり、これからもこの島を守るためによろしく頼む」と言いました。
警察の署長がロボットに頭を下げるのは珍しいことです。今回の事件がよほど深刻で、よほどピノールたちに感謝しているということでしょう。
今度は、ピノールたちは、裕福な家族とロボットとの間に多少しこりが残っているように思われたので、まずそこの子供たちとロボットの関係を元通りにするようにしました。やがて、わだかまりもとけて以前のように仲良くなりました。
「これで一件落着だ」ピノールたちは安心しました。「しかし、ケイロンが、また何かしでかさないか心配だ」
「ピノールくん、たいへんだ。今度はアルモニー島で暴動が起きている。すぐ行ってくれないか」
世界の平均気温50度の30世紀において、人間は、すでに特別な耐熱服を着ないかぎり、北緯50度より南では日常生活を送れないようになっていますが、ブリーズ島、ヘブン島、そして、アルモニー島は、インド洋にある島です。
北極海からの強い風が年中吹いているので、1000年以上前、すなわち20世紀までのような穏やかな生活をすることができるのです。
ただし、それぞれの島で家を購入するためには莫大なお金がかかるので、限られた者しか住めないのです。
「すぐにヘリコプターで迎えに行くから、そのままアルモニー島に向かう」と言って電話が切れました。
「とにかく行くしかない」3人は急いで外に出ました。
ヘリコプターの音が聞こえてきました。そして姿が見えてきました。
「まだひどいことにはなっていないが、
、すぐに来てくれという緊急要請があったので、きみらに頼むしかないのんだ」
署長は早口で説明しました。
1時間ほどすると、真っ青な海に浮かぶ島が見えてきました。
「あちこちから煙が上がっている!」ピノールは叫びました。「これはヘブン島以上だ」とチィートが言いました。
「まずどこからはじめようか」戦略家のエトーレが考えました。

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