ピノールの一生(34)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとにヘンな童話100選」の(147)
「ピノールの一生」(34)
激しい銃撃音が響くと、部屋が真昼のように明るくなりました。四方八方から銃撃しているようです。
「くそ。おまえが仏心を出すからこんなことになったんだ!」誰かが叫んでいます。
「あいつはどこにいるんだ!」という叫び声も聞こえました。自分をさがしているんだと悟ったピノールは少しずつ体を動かして窓のほうに行きました。
何とかそこから逃げようとしたのですが、銃弾は止みそうにありません。
普通の銃弾なら、体に命中しても心配ないのですが、家が火に包まれたりすると、内部に熱がこもってシステムが狂う恐れがあるのです。
もちろん、最新のロボットなら、どんなに高温でも内部に伝わらない金属でできているのですが、ゼペールじいさんには余裕がなく、ピノールをそこまで改良することができませんでした。
早くここを逃げなければなりません。そのとき、ドーンという音がしたかと思うと、真っ赤な火が一気に立ちのぼりました。
ここは別荘が密集しているので、火器は使わないだろうと安心していたのですが、人間の警察は辛抱を切らしたようです。
早くここを出ようと決めたとき、背後から激しい爆発音が起きて、ピノールの体は吹っ飛びました。
ドスンと落下しました。すると、「ピノール、大丈夫か?」という声がしました。
チィートとエトーレです。
「ああ、大丈夫だ。助かったか」
「様子を見ていたんだ。警察は近所の人間を避難させていたから、これは何か起きるぞと思っていたら、案の定、ロボットを破壊する作戦に出た」
「それで、何かあれば、あの部屋に入ろうと話していたんだ」
「ありがとう。あの親子が助かってよかった」
「ピノール。きみの体が熱い。そこに寝てくれ」
2人は、冷却水をかけました。ジューという音がしました。
「これで、大丈夫だ。よくがんばった」、
「ありがとう。それじゃ戻ろう」3人は急いで、そこを離れました。、
3人のことは島中に伝わりました。ブリーズ島は世界でも有数の富裕層がいるので、その影響力でそのことはさらに世界に発信されました。
「こんなロボットもいるんだから、ロボットを迫害するのはやめたらどうか?」という意見が噴出しました。
すると、「ロボットは人間ではない。頭脳はあっても、心はない。安易なヒューマニズムでは人間が滅びる」という反対意見も出ました。
そして、ロボットの心をどう解釈するかという論争になりましたが、ブリーズ島の住民は、「そんな論争は無意味だ。人間以上のヒューマニズムをもっているロボットがここにいる」という意見でした。
住民はそれぞれ特注のロボットを連れてきているので、まさか自分のロボットが反乱を起こすわけがない。
これには絶対理由があるはずだ。しかし、人間がロボットに聞いても正直に話してくれないかもしれないので、同じロボットのピノールたち3人にそれを頼みました。、
ピノールたちが、破壊されていないロボット一人一人に話を聞きました。
その結果、やはりケイロンたちが、ロボット登録法ができたことを利用して、「このままでは自分たちは破壊されるぞ」と扇動したようです。
しかし、ケイロンたちはすでに島を離れていることが分かりました。、

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