結婚スピーチ原稿(1)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「結婚スピーチ原稿」(1)
新郎新婦、本日はおめでとうございます。
スピーチとスカートは、短ければ短いほどいいということなので、手短にお祝い申し上げます。
人生には、三つの坂があります。上り坂と下り坂、そして、「まさか」という「さか」です。こういうスピーチをお聞きになったことはあるでしょう。いくら短くても、使い古された言葉で祝福するつもりはありません。
しかし、なんですなあ。「まさか」は確かにあります。
わたくしは、若いときに事業を起こしましたが、あれあれという間にうまくいって、50近くでちょっと慢心したようで、「まさか」売上げがこんなに減るとか、「まさか」幹部が、わたくしを裏切って、同じ事業をするとか信じられませんでした。
しかし、わたしは復活に向けて懸命にがんばっております。
あっ、どうも申しわけございません。取り乱してしまったようで、もう一度お祝い申しあげます。
さて、人生には、三つの袋があります。といっても、例の「お袋・胃袋・堪忍袋」の三点セットではありません。
わたくしは、先ほど言ったように、陳腐な言葉で、新しい夫婦の門出で祝うつもりはありません。
わたくしがいう三つの袋を申しあげますと、まず、「知恵袋」です。「脳みそ」でありますが、そこに溜めこむだけではいけません。それをどんどん出して使って、人生をよりよくしていくのです。
次は、尾籠(びろう)ではありますが、「くそ袋」です。目の前のごちそうでも、数時間後には、「くそ」になります。いや、わたくしを「くそ袋」などと怒らないでください。新夫婦も、明日から現実に直面しなければならないのですから。
つまり、食べた物は、刻一刻とわたくしたちの血となり肉となっていきます。その行き着く先が「くそ袋」ですが、二人の日々をどう消化してきたかを検証することが大事なのです。「くそ袋」は形而上的に言っているだけです。
最後は、「ガス袋」です。これも顰蹙(ひんしゅく)を受けるかもしれませんが、これも心についてのお話です。
新郎新婦は、お互いのやさしさで結婚をお決めになったと思いますが、「やさしさ」は、往々にして、忍耐に比例します。
つまり、笑顔の奥には、「ガス袋」があります。相手の「ガス袋」が飽和状態にならないようにするのが、夫婦がうまくいく秘訣です。そのためには、「愛しているよ」の次には、「何か困ったことないか」と言葉をかけるようにしてください。
年を取ってからではだめです。もう「ガス袋」が跡形もなくなっているからです
わたくしも、それで失敗しました。女房が、いつも笑顔でしたので、何でも許してもらえると好き勝手をしたからです。とほほ。
またもや私事(わたくしごと)で失礼いたしました。
お二人におきましては、ケーキ入刀ではじまる共同作業をどんどん続けて、四つ目の袋である「袋小路」に入らぬように努力されることを切にお祈り申しあげます。

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