ライフライター
{ 2016/05/29}
復活ノート
「ライフライター」
介護コンサルタントとして、おとしよりの家庭や施設を回っていると、「これを読んでください」と渡されるものがあります。
それは、自分が生きてきた人生について書かれたものです。女(つまりおばあさん)のほうが多いのは、女のほうが苦労が多かったし、それについて考えることも多いからのようです(男のほうは、苦労に見合う道楽や気晴らしができたから、ノーテンキになれたのでしょうか)。
それらの手記には、ほとんど「波乱万丈」の人生が描かれています。子供のときの苦労(父親が死んだり、母親が離縁されて、養子に行ったし、継母とうまくいかなかったりなど)、
思春期の苦労(奉公先での辛い生活、病気など)、結婚生活の苦労(夫の浮気、嫁姑の確執、商売の失敗、子供の教育など)。
それらには、筆が乱れることもありますが、辛い体験が述べられています。
誰も出版まで考えていませんが、自分の人生を言葉で残して、自分の子供だけでも知っておいてほしいという気持ちがあらわれています。
私が読んだところでは、他人の人生より辛かったけど、子供を立派に育ててきたという自負がありますが、何か陰がおうっているようです。
自分の人生がちゃんと評価されていない(子供が、照れて言わないだけかもしれないのに)から、年を取った現在、こんなに不幸であるという思いがあるからでしょうか。
先日、テレビで、ガンで余命いくばくもないことを悟り、先立った夫との幸せな生活(夫は海軍将校でしたので、赴任先の香港での生活)を、子供や孫に覚えておいてほしいという希望を持った、アメリカの老人施設にいるおとしよりの女性が、写真を中心としたビデオを作る話を放送していました。
そこで提案したいのは、単なるゴーストライターではなく、苦労の多かった人生に、喜びを見つけるライターです。
そこから、困難を乗りこえ、多くことをなしとげてきたという気持ちから生まれる平穏な時間を感じてもらうサービスです。
ビデオのほうまでいけたらいいのですが、今の日本のおとしよりには資料が少ないかもしれませんから、まず自らを語る言葉を中心に考えるほうがいいかもしれません。
子供からのプレゼントとしても受けいれられるでしょう。