真似

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復活ノート

「真似」
さて、今年はどうしていくべきかと考えをめぐらしている経営者も多いことと思います。
今こそチャンスだと打ってでようとしている人も、あるいはソフトランディングをさがすことを決めている人もいるでしょう。
私の場合は、不正行為をしたということで、新聞やテレビで報道されて、やむをえず事業を停止しました。
それ以前より会社の業績や内紛のことで、スタッフはどんどん辞めていっていましたが、それが明らかになると、契約をしていたほとんどの企業から契約破棄を言いわたされました。
ついてきてくれる社員もいたのですが、「万事休す」と破産手続きを決めました。
それから6年。社会も大きく動きました。
以前、偽装肉の発端となった西宮冷蔵の事件がありましたが、社長は、社会正義のために告発したのに、他の企業も利用をしなくなったということです。
あの社長は、何も悪いことをしていないという強い信念をもって、粘りづよく会社を再建しました。ほんとに敬服します。
何も悪いことをしていないことはない私と、あの社長とは雲泥の差がありますが、客が引きあげる悔しさだけは同じだったようです。
また、この2、3年の不況を乗りきるために融資を求める経営者の姿をニュースで見ますが、あれも、かつての私のようです。
あのまま続けていれば、自分の経営能力を使って必ずという思いと、やめたからこそ子供のときからの夢に気づいて、それに向うことができたのだという思いがあります。
難しいことではありますが、二つの思いをなるべく一つして生きていってほしいと思います。
経済成長のころ、現在の豊臣秀吉や徳川家康といわれた松下幸之助、本田宗一郎、井深大などがもてはやされていました(私は、生き方を真似しても、同じように成功をしないのにと思っていましたが)。
しかし、この不況を乗りこえさせてくれる人はいません。ユニクロ、マクドナルドという企業しか浮びません。
トヨタ、ソニーなどが四苦八苦しているのを見ると、経営の神様というものは、不況は得手ではないのかもしれません。
しかし、一人は心細いものです。それなら、自分が元々考えているイメージを真似するようにしたらどうでしょうか。
社員が退職を申しでると、「さっさと出ていけ」などと思わずに、「お疲れさん。悩んだだろう?またいっしょに仕事をしたいね」ぐらいは、ほんとは誰でも言いたいものです。
それなら、言ってしまうのです。
どんな職業にも資質があります。経営者にも当てはまるはずです。
資質がなくても、いや、ないからこそ努力は必要です。今年も、一つ一つやりましょう。