決断(2)

   { }

復活ノート

「決断」(2)
最近、コンビニ弁当の割引販売が問題となりました。
セブンイレブンに加盟している一部の店がはじめたようですが、それを知った本部が警告書を送ったのが発端です。
その内容は、世界的な食料危機が叫ばれていて、しかも、輸入食料の40%が廃棄されていると言われているときに、まだ食べられるものを廃棄するのはおかしいと思われるが、ここは、心を鬼にして本部の指示に従ってほしいというようなことだったと聞いています。
割引弁当を買いたいやつは、夕方のスーパーに行けば言いということでしょう。
しかし、その後公正取引委員会から、本部に対して排除命令が出されたことで一件落着になったと思いました(コンビニ弁当には、発ガン物質などの添加物が入っているという事実は残ったままですが)。
ところが、昨日(8月14日)のマスコミに、最初にはじめたり、それに追随したりしたフランチャイジーに対し、契約解除を通告したとありました。
本部から言えば、国や世論には逆らえないが、まず悪いやつは出ていってもらいたい、何しろ、全国に1万軒以上の店があるのだからということでしょう。
以前にも書きましたが(私も、フランチャイズの本部をしていました)、フランチャイズシステムは、はっきり言えば、「商売を金で売る、売る」という側面があります。
フランチャイザー(本部)は、営業エリアがどんどん広がるメリットがあります(しかも、加盟金、ロイヤリィーという「上がり」が入ってきます)。
フランチャイザーにとっては、知名度を利用できるし、一からはじめる必要がないわけです。
それはさておき、意趣返しは、大企業でもやっているのですね(しかも、ワンマン創業者でもないのに)。
よく考えると、内部告発した運送会社の社員、裏金を告発した警察官、辞職勧告に応じない私学の教師などのことが知られています(特に私学の教師は、誰もいない教室で授業をさせられるというのです)。
そうそう、ある牛丼チェーンでは、「名ばかり店長」を告発した社員に、会社側は、店のごはんを2杯か3杯か横領したとして損害賠償を求めています。
どこも、「獅子身中の虫」を追いだすことが先決と判断したのでしょう。
私も、一方の社員の意見だけを聞いて、それらしきことをしたのが敗因だと考えています。
あのとき、当事者の意見を聞いていれば、状況は変わっていたかもしれないと後悔することもあります。
後悔先に立たず、ですが、このコンビニ本部の場合、首謀者(と見なしているフランチャイジー)を、獅子身中のさらに奥深く入れることはできなかったのでしょうか。
フランチャイザーは、フランチャイジーが固まるのをきらいますが、飽和状態になっているコンビニ業界で、売上げを伸ばすために、新しい役職を与えることも、一つの策ではなかったのでしょうか。
廃棄弁当の仕入れ代はすべてフランチャイジーの負担だそうですから、これからも似た問題は起きてきます。
人を使うは苦を使う、ですが、苦をへらすことは、経営者の一番大事な仕事かもしれません。
今届いた夕刊には、契約解除を通告されたフランチャイジーとは別の人が、本部に、割引販売を妨害したとして、3000万円の賠償を求めて提訴したということです。
本部は、フランチャイズとは人を使うことだと思うべきです。
私たちも、気に食わない社員を安易にやめさせたりしないで、どう会社の味方にさせるかを考えるべきでしょう。