のほほん丸の冒険
第1章106
「ちょっと聞いてくる」と言って三上さんが引越しトラックのほうに行った時、急いで木の陰に隠れて見守った。
業者もほとんど積みおわっていたようで、三上さんとかなり話しているようだった。
20分ぐらいしてから三上さんは戻ってきた。「ちょっと聞いてきたよ。でも、
向こうもあまり聞かされていないな」と感想を述べた。
「どこの会社か分からなかったですか」とぼくは聞いた。
「そうなんだよ。何か隠そうという雰囲気ではなかったから、聞かされていないな。トラックは」
「でも、どこへ運ぶんですか」
「そうなんだな。わしは、ここに来る若い社員と親しくなって、スキーもしたことがあるとか言ってやった。ある社員から頼まれことがあって、連絡したいんだがと言ってやった」
「それはすごい。どうでしたか」しゃかりき丸が体を乗りだした。
「でも、仕事を頼んできたのはここを管理している不動産屋だよ。そっちに聞いたほうが早いよと言うんだ。それで戻ってきたわけだ。今からどこへ運ぶんのか聞いてみようとしたんだが、聞く前に、倉庫に運ぶと言っていたな」
「話が元に戻ったな」しゃかりき丸が残念がった。
「よし。車をバス道に持っていく。動きだしたら連絡してくれ」三上さんの友だちの佐藤さんが声を出した。
さすが車好きと言っていたとおりだ。「おまえが追いかけてくれるか」と三上さんが聞いた。
「あたりまえじゃないか。倉庫と言っていたな。大体の場所は分かるから、怪しまれないようについていく。おまえたちは少し後から来い」会った時はあまりしゃべらない人だったが、いわゆるエンジンがかかったように動きだした。すぐにバス通りに向かった。
スタッフ全員が別荘から出てきた。二人は荷物席に乗り込み、後の二人は運転席に乗った。トラックが動きだした。三上さんは佐藤さんに「動いたぞ」と連絡した。
ぼくらも車に乗った。「かなり荷物が多そうだったから、スピードは出ないと思うんだ。まあゆっくり行こう」と三上さんが言った。
「佐藤さんはすごいですね」しゃかりき丸が監視したような声を上げた。
「そうだね。あいつは運送会社に勤めていたんだよ。だから、倉庫のことは詳しい」
「しかし、倉庫に無関係の車が入るのはむずかしいから、まずはどこに行くかが分かればいいと思っているはずだ」
その時、佐藤さんから「鈴蘭新道に入る」と連絡があった。しゃかりき丸が三上さんの携帯を預かって応対する役目をしていた。そしてぼくは地図を見てトラックがどこに向かっているか確認することにした。
報告は次々と来た。それを聞いて、三上さんは、「道東自動車道に入るな」と言った。
「札幌のほうに行くそうです」しゃかりき丸が叫んだ。「それなら、100キロあるから、佐藤に任すよ」確かに連絡は少なくなった。ようやく、「追分町を出たそうです」しゃかりき丸が言った。
「流通センターという地名がありますね」ぼくも地図を見ながら言った。
「そうだろう。そこに倉庫が多い。そこのどこかに荷物を置くようだな」
しばらくすると、佐藤さんから「白石物流センターに入りそうだ」と連絡が来た。
「それじゃ。家に帰ろう」三上さんはそう言って奥さんの家に向かった。
「これからどうするんですか」しゃかりき丸は弾んだように聞いた。探偵映画を見るような気分になっていたかもしれない。
ぼくらもいろいろな人間を追いかけてきたが、大人と一緒に行動するのははじめてだった。
佐藤さんはそのまま帰宅したが、明日出会って4人で作戦を練ることになった。