地球の留守番

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「ほんとはヘンな童話100選」の(4)
「地球の留守番」
昔、神様が宇宙を作ったとき、広すぎることをたいへん後悔しました。見てまわることに時間がかかるからです。しかし、ほっておくことはできません。
それで、何百といる子供たちに、それぞれの範囲を決め、星を作るように命じました。疲れたら、そこで休むことができるからです。
子供たちは、宇宙に散らばっている岩を集めて、どんどん星を作りました。
しかし、子供たちでさえ、担当の範囲が広いので、前に作った星の出来を確かめることができません。
それで、それぞれの星に、動物や植物も住まわせることにしました。そして、一番信頼できるものを、そこの留守番にすることにしました。
最初は、みんな一生懸命留守番をしたのですが、だんだん居眠りをしたり、遊びほうけたりしたので、荒れ放題になりました。
しかし、神の子供たちは、まだまだ星を作らなければなりません。それで、子供同士相談をして、荒れ放題の星は、誰も住めないようにしました。荒れ放題になるよりましだからです。
私たちが住んでいる地球を作った子供は、太陽系を担当していて、水星、金星、火星、木星なども作ったのですが、このままでは父に見せることができません。
とりあえず地球以外の星にいたものを追いだしたのですが、地球には人間がいることを思いだしました。
小さくても、知恵があり、いつも助け合い、よく働くことを聞いていたからです。
これを最後のチャンスにしようと決めました。これで、うまくいかなかったら、地球を、他の星と同じように、誰も住めないようしようと決めました。
ただ、人間は知能が発達していますので、妬みや憎しみという感情も、他の動物や植物以上にもっていることが気がかりでした。しかも、1人っきりになると、そういう悪い感情を出すのです。
それで、鳥を人間の話し相手にしました。鳥は、海や山の上でも飛ぶことができるからです。しかも、鳴き声がさまざまなので、話し相手には好都合だったのです。
朝早く、大きな声が聞こえてきます。
「ジムのやつ、生かしちゃおけねえ」
庭の木にいたカラスが、男の思いを知りました。ハア、ハア
「あいつを殺しておれも死ぬ。だって、そうだろう?ジムがどうしてもいると頼むから、食うものも食わずに貯めた5000ドルを貸してやったんだ。
しかし、3年返してくれない。もう少し待ってくれの一点張りだ。
女房のアンが死ぬとき、一人娘のケイトを立派に育てると約束したんだ。そのための金なんだ。アンだって、おれのことをわかってくれるはずだ」
少し遅れてきたスズメが答えました。チガウ、チガウ
「でも、おれがいなくなったら、ケイトがかわいそうだ。まだ10才だが、アンに似て、天使のような笑顔で、みんなを幸せにしてくれる。ケイトの笑顔をなくしちゃなんねえ」
高い枝にいたカッコウが、すぐに声を出しました。ケッコウ、ケッコウ
その男は、その日一日ずっと考えていました。
夕方に、カリが通りかかりました。ガンバレ、ガンバレ
深夜、「ジムにもう一度話そう。ジムだって子供がいる。おれの気持ちをわかってくれるはずだ」
フクロウは、森の端まで出てきていました。ソウ、ソウ
神の子供は、自分が考えているようになっていて少し安心しました。それで、もう少し地球の様子を見ることにしました。

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