世界二世大会
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「世界二世大会」
「おお、久しぶり。ヤスオ」
「ジョージ、ご無沙汰。調子はどうや」
「何にもすることがのうて、気が抜けてもうたけど、調子はええで」
「ご苦労さんやったな」
「お互い年やもんな。無理せんこちゃ。おれも、田舎に戻ってゆっくりするのが楽しみや。
経済もえらいことになっているから、こうゆうときは、のんびりするのが一番ええ。
英気を養って、ここぞとゆうときに、また打って出る」
「まだ若いなあ」
「きみは、途中で辞めるゆうたんやろ」
「そうなんよ」
「別に自分から辞めでもよかったんちゃうん?」
「だいぶ悩んだけど、ぼくは、こう見えても、将来を見ることができるから決断した。
そう見栄を切ったけど、ほんまはきみが辞めるから心細うなったこともあるんや」
「ところで、テレビで、あいつ、だいぶ悪いゆうことゆうていたけど、見舞いにいかんでもええんか」
「もうちょっと様子見ようか。都合悪うなったらあんなことゆうのは昔からや」
「今度はほんまらしいな」
「金が入るアテが外れたらしいけど、それで頭に血ぃ上ったんやろか」
「跡継ぎのことも何かあったらしい」
「お父さんが元気なときは羽振りがよかったのになあ」
「そう、そう。ぼくらにも、いつもおごってくれたもんなあ」
「女遊びがすごかったらしいけど、親が決めた道しかなかったから、かわいそうなとこもある」.
「跡継ぎゆうたら、ヤスオ、きみとこも騒がしいようやな」
「みんな、がんばっているやろ。何でも独り占めしたらあかん。そう思うて、途中で辞めたのに、やれ無責任や、やれ他人事やゆわれているんや」
「世間は、二世のええととこがわからへんのや」
「親と時代がちがうもんな。昔は単純な時代やった。ところで、今日は、誰が講演するんや」
「タローや」
「きみの後をやりたがっているタローか」
「そうや。話が始まった」
「きみらは、二世ゆわれているけど、おれは、三世だよ。二世、三世には、いいところがいっぱいある。
イギリスのある文学者が、「金がほしくなったら、心が弱くなった証拠」とか言っているらしいが、うなるほど金を持っているおれたちが、「金なんかもういいや」と思うようになったら、心が病んでいるんだよ。
いいこと言うだろう?おれの叔父は、有名な英文学者だよ。ケンイチって知っているだろう?おれも、これくらいは、言わなくっちゃな。
まあ、その金で、貧乏人に施しをしてやれば、みんな喜ぶじゃん。おれたちも喜ぶ。置くところがなかった金を処分できたんだからさあ。
とにかく、金がない連中は、下品な顔をしているのはまちがいない。いつも金儲けのことを考えているからだ。
金があるほうが、人間的に生きられるよ。おれ、忙しいんだよ。みんな、おれの話を聞きたがるからさ。
まあ、二世とゆわれても、自信を持って生きることだ。それじゃ、またな」
「あんな人もいるんやな。ヤスオ、パーティに行くか」
「行く行く。何にも用事ないもん」
「それじゃ、もっと話をしようか。聞いてほしいことあるねん」