歴史は繰り返す

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「歴史は繰り返す」
――今日も笑うてもらいまひょ
――そうやな
――せやけど、浮かない顔をしてどうしたん?飲みすぎか
――そんなことない。いやな、最近、天災や人災がよう起きるから人類は絶滅するんとちがうかと思うと寝られへんのや。それで、夜中飲んでいるだけや
――やっぱり飲んでいるんやないか!
――確かにそうやな。地震や津波はしばらく起きてへんなあと安心していたら、大雪、大雨は年中起きるようになった
戦争かて、ざわざわ戦場に行ったら、そんな気がなかっても殺したり殺されたりが起きてしまう。人間、恨み買うたら簡単には収まらへん。わざわざ妙な法律なんか作らんでもええのにな
――なんでそんな法律を作るんや?
――日本だけでは守れんから、よその国にも守ってもらわんとあかんと考えたそうやで。そのためには、近所付きあいをようしとかんとあかんと
――回覧板ですまんのかいな
――回覧板か。なんて書くのや
――今度寄り合いして話しあいしましょう。その後一杯やりましょう
――ほんまはそれですんだらええのやけどな。「歴史は繰り返す」ということがあるけど、それが怖いゆうて、みんな反対している
――せやけど、人間はおんなじことしているで
――どんなことや?
――今の若いもんは、みんな集まってサッカーや野球を見ることがあるやないか
――パブリックビューイングゆうやつやな
――あれ、ぼくも子供のときしとった
――ほんまかいな。ハイカラなことしとったな
――夕方になると、テレビのある家に近所の子供や大人が集まって、相撲やプロレスを見るんや
――ぼくもしたけど、あれもパブリックビューイングか。無理があるけど、確かに栃錦と若乃花の人気はすごかった。でも、相撲の人気が落ちてきたなあ
――また、モンゴル人に勝つ栃錦と若乃花が出てきたら、昔のように人気が戻るで
――なるほど。「歴史は繰り返す」けど、ええようになるか悪いようになるかは人間の心がけ一つというわけやな
――きみはほんまに賢いなあ。だてに禿げてへん
――いらんことゆうな。きみは同い年やけど、髪の毛はつやつやしている。まったく禿げる気配がない。体も、どっこもわるいとこないやろ?
――医者には、取り立ててわるいとこない。これなら、死ぬちょっと前まで生きていると保証されたけどな
――べたなことゆうなあ
――認知症には気をつけんとな
――逆走したり、ブレーキとアクセルをまちがうのも認知症らしいからな
――そうやねん。それが心配や。人生では逆走したり、ブレーキとアクセルをようまちごうてきたけどな
――うまいことゆうやないか。まあ、よくご無事で
――きみが助けてくれたからや。きみにはほんまに感謝している。きみがいなかったら今のぼくはない
――えらいことになってきたなあ。ぼくかて、きみがいたからこそここまでやってこられた   
――ぼくもそう思う
――なんのこっちゃ
――とにかくぼくは、何でも知っているきみのような人間になりたいと思うている。きみはプレミアム人間や。ぼくはジェネリック人間や
――なんや。そのジェネリック人間て
――最近のことはわからんけど、昔のことはようおぼえいる
――今日は冴えとるな
――ところで、何でも知っているきみに尋ねるが、ぼくの嫁はんどこにいるか教えてくれへんか
――どうしたん?
――1週間前から家に帰ってこうへんのや
――またかいな。ここにも、「歴史は繰り返す」があった

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