落語のまくら(2)

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「落語のまくら」(2)
年を取ると、医者にかかることが増えるのでございます。脳は若い、顔も若いと他人に言われて、その気になっていると、心臓や腸は年を取るのでございますよ。
わたしも、あちこち傷んできて、歯医者、目医者、胃医者、血医者の世話になっております。血医者は、血液の「血」で、血圧の薬を出してくれる医者のことでございます。
さて、先日、目医者に行きますと、医者は、わたしの顔を見るとにこにこしているのです。
診察前の検査では、視力は悪い、眼圧は高いと言われたので、どうしたことかと医者の前にすわりました。
すると、「5月にいい薬が出ましたよ!」と言うのです。脱法ハーブを売る売人のようですが、医者は、わたしの眼圧を何とか下げようと必死になってくれているのです。
また、「目が痒くてたまらん」と訴えたのですが、「そういう患者が多くてね」と、今度もまんざらでもないという様子。
「また、新しい花粉でも?」と聞いたのですが、理由がわかりました。
今年も、節電、節電で、扇風機をつけることが多いわけですが、それで、目が乾いて、痒くなるというわけですな。「ドライアイ」というそうで、クーラーでも、除湿で、そうなるらしいです。お蔭で目医者が繁盛というわけでございます。
昔、「ダイマルラケット」」か「いとしこいし」の漫才で、「風呂屋は、38円で体中洗えるのに、目医者は、100円払っても、目ぇしか洗ってくれん」というのがございましたが、まさに、「節電すれば、目医者が儲かる」でございます(「あばあちゃん、熱中症にならないように、毎日水を飲みましょうね」と言われて、冷たい水を飲みすぎて、体の調子を壊している年寄りが多いとか。来年からは、「白湯(さゆ)を飲みましょう」とでも言ったほうがよろしいようです)。
ご承知の通り、「節電すれば、目医者がもうかる」の元祖は、「風が吹けば、桶屋が儲かる」でございます。
風が吹けば、目にゴミが入って盲人が増える。そうすれば、三味線弾きが増えて、三味線を作るために猫がいる。そうしたら、ネズミが増えて、ネズミを捕るために、桶がいるというわけですが、そのバリエーションはいくつもあるそうです。
しかし、ここにも、目医者が出てきます。何事が起きても、目医者は、儲かるようになっているようで、結構な商売でございます。
株をやっている人には切実でしょうが、ある会社が大きな発明でもすると、みんなが買うので、どんどん上がり、何かしでかすと、どんどん下がるのも、そういうことでありましょう。
また、最近、ゲリラ豪雨というのがありまして、大変な被害が出ております。
暑い、暑いと言っておりますと、突然、入道雲が出てきて、地元の年寄りでも、「経験したことのない」ような大雨が降るのです。
どうしてこんなことになったのか調べているうちに、日本の海の海面温度が30度前後になっていることが分かったのであります。そこへ湿った空気が流れこむと、無茶苦茶のことになるのです。
頭がカッカしている人が、余計なことを言われると、暴れまくるのと同じです。
しかし、「海面温度が上がると、ゲリラ豪雨が起きる」とわかっていても、これには対処のしようがございません。防災会社の株が売れるぐらいのものです。
天災はともかく、災難に合わないようにするためには、「百聞は一見に如かず」ではなく、「一見は百聞に如かず」思ったほうがよさそうです。
最近は、世の中が目まぐるしく変わるので、「一見」などできそうにありませんから。
今度の目薬が効けばいいのですが。

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