日本を救う

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「日本を救う」
「おれは『海老反り』、「意地梨 海老ぞり」だ。世間はおれの本心を聞きたがっているだろうな。
おれのことを「人間コクゾー虫」ていうやつがいるらしい。コクゾー虫って、米を食う虫だろ?馬鹿じゃねーの。30過ぎても家にダニのようにいて、親の脛を齧っているやつが世間にはゴマンといるじゃないか。
おれは、学校に上がる前から修行をやって、世界で通じるスターになったんだぜ。おれが仲間を食わせているようなもんだ。
ところで、人間は家柄で決まるということを知っているか?成金になっても、家柄の悪いやつは、いずれお里が知れてどこかへ行っちまうよ。しゃきっとした背骨がないから、ちやほやされて自分を見失うんだな。
おめーも、元々川原乞食じゃねえかって?うるせーんだよ、このぞうり虫が。
おまえたちがテレビで涎を垂らして見ている女が、みんなおれの前で競って服を脱ぐんだ。あいつだろ、あいつだろ。これも、本物の女は本物の男を見抜くということだ。わかったか」
「よく言ってくれたな、海老反り君」
「ああ、これは尾祖間 椎郎先生!」
「いや、いや。きみが元気で安心したよ。世間のことなど気にするなよ。本物はどんなことがあっても光輝くのだから。
ぼくだって、起訴だ、政倫審だと言うやつがいるが、国民は、ぼくを総理大臣にしたがっているのだよ」
「センセーにそう言っていただければ心強いです」
「きみは決して悪くない。多少海老反りをしすぎたかもしれないが、みんな家柄が悪いか
ら、きみが羨ましくて仕方がないだけなんだから。
そして、最近になって、歌舞伎は、傾(かぶ)くから来ているので、一流スターが世間外れなのは当たりまえという意見が出てきているそうじゃないか。
家柄に関しても、きみ言うとおりだ。
ぼくのまわりにも巴戸止目君とか与謝名井化君ちゅう家柄のいい友だちがいるので、よくわかる。
ぼくは、家柄では恥ずかしいかぎりだが、同じく家柄で苦労された他の中センセーに厳しく指導してもらったので、家柄のいい諸君に伍してやっていける。
ところで、今こそ田の中センセーの政治力が日本を救うと思わないか。
田の中センセーは、悲願の中国との国交回復をなしとげたんだ。政治ちゅうもんは人間関係だ。
この時代に防衛費を増やしたり、最悪の場合、核戦争が起きてみろ、日本は二度と立ちあがれない。家柄がある者こそが明日の日本を見ることができる。根無し草のような連中には、1000年後、2000年後のことは考えられないよ。
しかし、選ばれてし者の恍惚と不安 二つ我にあり、だ。しかし、海老ぞり君、世間は、それを賞賛と嫉妬と取るからね。それだけは気をつけたまえよ。
なにしろ、きみは、50年に一人の逸材と評論家からも言われているからな。
きみは文化で、ぼくは政治で日本を救おうじゃないか。
そして、国民には、たまたま家柄が悪くても、まず家ありきという哲学を教えてやろう。
親が、子供に好き放題させるので、子供はそれを当たりまえに思って、世の中がこんなことになってしまったんだ。
いや、きみに会えて楽しいよ。飲もう、飲もう」
「セ、センセー、一応ぼくは禁酒していることになっていますので」
「まあ、いいじゃないか。テキーラのリポビタンD割りはどうだ?うまいはずだよ。田の中センセーは、いつもウイスキーのリポビタンD割りを飲んで、日本のことを考えていたんだ。
ぼくもそれをやりながら、身に降りかかる粉を払って、明日の日本を考えるようにしている。ぐっといきたまえ」
「それじゃ、いただきます。あっ、おいしいです。テキーラのリポビタンD割り、もう1杯いただいてよろしいですか」

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