耳そうじ(3)
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「耳そうじ」(3)
「パブロフの犬」って聞いたことあるやろ。「知ってる知ってる。学校でおぼえたわ。ベルが聞こえると、何ぼでも食べてもうて、えらいことになった犬のことやろ」てか。
どこかちがうような気がするけど、そんなもんや。条件反射の話では必ず使われるけど、耳がかゆくなるのも、多分そうやろな。
「耳そうじ」は、耳垢がたまっているとゆうより、イライラしていると、何かしたくなる結果や(しかも、魚釣りといっしょで、すごい釣果やったら、スッとするもんな)。
しかも、イライラは、極端にいく性質がある。拒食、過食もそうやろな。えげつない犯罪を犯したもんが、「イライラしていて、つい・・・」ゆうのもよう聞く。
ぼくは、耳の中を傷つけなかったら、かゆくならへんやろと思うて、「粘着する耳かき」を使うていたけど、あんまり効果がない。きつくすると、糊が取れるし、値段が高い。
学校ついでにゆうと、「悪癖がしたくなると、運動をして発散せえ」と保健体育の先生にゆわれたやろ。当時は、「あれとこれはちがうやろ」と思うていたけど、確かに忘れることは生きる知恵や。忘れたら、他のことが浮かぶもんな。
そこで、耳がかゆくなったら、ストレスが体に入る合図やと考えて、他のことを考えるようにしている。
今こっているのは、三つ巴の話や。相撲も、3人の優勝決定はおもろい(八百長やなかったら)。そのマイナンバーワンの話はこうや。誰かから聞いたんやけど、ある男が、温泉へ入っていたら、女風呂との衝立に穴が開いていて、覗くと、40ぐらいのええ女の裸が見えた。その男、黙っときゃええのに、おじいさんにゆうたらしい。おじいさんも覘いて、「ほんまにええもん見せてもうたわ。おおきに」と喜んでくれた。
調子に乗って、こわもての男にもゆうた。その男も、さっそく除いた。しばらくすると、そのこわもては、さらに恐い顔して帰ってきた。どうしたんやろと思うていると、「こら、ええかげんにせえよ。あれ、わしの嫁はんやないけ」と怒鳴った。すると、おじいさんは、そっと立ち上がって出ていった。
調子もんの男とこわもての男の表情の変わりようや、おじいさんが、前を隠しながら、あばら骨を浮かせた体を小さくして逃げる様子。これを頭に思い浮べると、笑いがとまらへん。
月亭可朝の落語以上におもろい。おじょうさんが、深夜歩いていたら、チカンが出たので、「誰か助けて~」と叫んだ。すると、若い男が出てきて、チカンをやっつけた。今度は、その男がチカンに早変わり。また、「誰か助けて~」と叫ぶと、またちがう男がチカンをやっつけた。また、その男がチカンになった。また、「誰か助けて~」。すると、別の男があらわれて、やっつっけてくれたが、よう見ると、その男は最初の男やおまへんか~。ほんまにほんまやゆう名作やけどな。
大江健三郎も、散髪屋で、主人が、むちゃくちゃ熱いタオルを顔においたので、「熱いやないか」と怒ると、「いや、熱くてもっておれんかったので」ゆうた話はおもろいと書いている。
年取ると、一瞬で人生変わるで。へたすると、一生ベッドの上におらんとあかんかもしれん。毎日「耳そうじ」がしたくなる人は、ストレスに気ぃつけや。