ADL

   

今日も、ムーズがやってきた~きみと漫才を~

「ADL」
ADLって知ってるか。
知ってる、知ってる。今まで、4,5回行ったことがある。
どれも、長い行列や。ぼくは、真っ暗のところを走るジェットコースターに、もういっぺん乗りたいわ。周りが見えへんから、あんまり怖いころあらへん。滝をまっさかさまのやつも、おもろいわ。ぐるぐる回るブランコは、気持ち悪うなるから、絶対いやや。
そりゃ、おまえ、東京ディズニーランドちゃうか。TDLゆうて略して書いてあるからな。
ぼくが聞いたんは、ADLゆうてな。アビリティ・オブ・ディリ-リビングの略で、「日常生活動作」と訳してる。
人間は、年を取ったり、障害を持つと、生活を一人で、やっていかれへんようになる。
そのレベルを表すんや。杖がないと歩かれへん、服が着られへん、ごはんつくられへんと、いろいろある。
介護保険なんかは、ADLで、認定を決めるんやな。
うちの母親なんか、食べること忘れてもうて、胃に穴開けて、そこから栄養入てるわ。
半年前まで、マンゴーや洋ナシなど、見たことのないようなもんを持っていくと、「これ初めてや。ほんまにおいしいな」ゆうてたんやけど、ぼくのこともわからようになった。ちょっとしたきっかけで、こんなことになるんや。
脳細胞は、25才ぐらいから、減る一方やとゆわれている。
せやけど、論理を司る細胞は、やる気があれば、80才でも増えるんやてな。記憶力は、落ちるのは実感するけど。
「万博」の塔で有名な岡本太郎なんか、脳みそが「爆発」して、自分の名前をよう忘れるゆうとった。
ぼくらでも、人の名前を忘れて、たいへんや。こんな調子や。
「昔、大阪で、子役として、テレビに出ていて、大人になって、首がしゅっと長くて、賢そうな顔をしていた女優、誰やった?
いつも派手なセーターを着て、ワイドショーのコメンテーターしているシナリオ作家と結婚したやろ。その人、デヴィ夫人を、マスコミのパラサイトゆうて、えらいけんかしてた。その人の嫁はんやがな」。
みんな、顔も浮かんで、喉まで出ているのやけど、名前が思い出せへん。そこで、手分けして、夜中に、あちこち電話するとゆうわけや。しんどいけど(夜中、電話で起こされるのが、一番しんどいやろ)、忘れたら、絶対思い出した方がええらしいよ(答 柴田美保子)。
ぼくも、意地になって、人に聞かんと思い出そうとしているのが、ようけあるけど、答が、
何週間後に出てきても、これ、なんで思い出したかわからんこともある。
ところで、ADLやけど、将来は、車の運転でも、年寄りが加害者になることが増えるようやな。
僕はいっぺん見たことがあるけど、銀座のど真ん中で、立ちションベンするじいさんがいた。体の機能と羞恥心のレベルが落ちていくんやな。これも、ADLちがうか。
要するに、年を取ると、ええことは、だんだん少なくなるけど、これで悔やんでいたらしゃあない。
生活レベルのADLは落ちても、アビリティ・オブ・ドリーミングリビングのADLを高めていくことが、楽しい老後の条件やと思うけどな。

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