のほほん丸の冒険 第1章51~55
のほほん丸の冒険
第1章51
「アジトはそっちだったのか」
「そうです。しかし、駅から2時間ぐらいかかったような気がします」
「場所は分かるか」
「途中にあった目印は覚えました。おれは親と喧嘩して一人で帰ったということにしていたので、『ここはどこですか』と聞くと運転手に怪しまれるので聞けなかったんですよ」
「金持ちの坊ちゃんになっていたんだな。よく見たら本物か偽物か分かりそうなものだけどな。
とにかくおれたちが止めても、おまえたちは行くつもりなんだろう」
「それはまちがいないと思います」しゃかりき丸がにやりと笑った。
「開き直ったな。とにかくじいさんに言っておけよ」テツが話を収めた。
おじいさんを見ると寝ているようだ。ぼくとしゃかりき丸は公園に行くことにした。
歩きながら、「すごいことをやってくれたね。もうあきらめるしかないのかと思っていた」とぼくはしゃかりき丸に礼を言った。
「いやあ。きみのようには行かないけど無我夢中だった。しかし、今回はうまく行ったけど、もしばれたら取り返しがつかないことになっていたかもしれないと反省しているんだ。今後はきみに相談する」
「いやあ。ぼくこそ頼りにしているよ」
公園は大通りのすぐそばにあるのに、犬の散歩する人ぐらいで人は少なかった。しかし、奥のベンチに行くことにした。通りから見えるベンチにいると警察官に職務質問されることがあるのだ。
ベンチにすわってすぐに計画を練ることにした。まずしゃかりき丸に、建物のまわりの様子などを聞いた。それぞれの別荘は木に囲まれていて好都合なことがわかった。
それにしゃかりき丸がしたように木に登ればどんな計画も考えられる。
そして、2,30分離れた大きな道路にはバスが通っているらしいので、その最終時間を調べてから開始時間を決めるのだ。後はそこに女の人がいるかどうかだ。
今午前10時だ。そろそろ向かうことにした。早く行くと人に怪しまれるかもしれないが、今ならちょうどいい。それに、高尾山は」行楽客が多いのでkども二人が歩いていても大丈夫だ。
ぼくらはテントに戻り、ガラス切りやロープなどを準備した。そして、おじいさんに挨拶した。
「おまえたち二人でやれば大丈夫だが、焦ることは禁物じゃ」おじいさんは体を起こして言ってくれた。
「分かりました。気をつけます」ぼくらはそう答えてテントを出た。
電車で新宿から高尾山口まで行くことにした。1時間ぐらいかかったが駅に着くと、大勢の人がいる。
ぼくらはバス道路を歩くことにした。「ここをどんどん歩けばいいんだ。ぼくが乗せてもらったトラックはどこかに寄り道をして荷物を載せたが、またこの道に戻ってきたから」
「よし歩こう」
「かなり坂道だぜ」
「そのくらいなんでもないよ」
ぼくらはとにかく歩いた。途中は坂道であったが山の中ではなく田舎のような風景が続いていた。何十件の家が一塊に立っているのがあちこちにあった。
子どもたちが遊んでいる。ぼくらはそこを急いで歩いた。確かにバスも時々通る。
ようやくその風景が切れて道の両側に木が立っているようになった。
「いよいよ山に入るようだ」
「この蕎麦屋の看板はあったな。ここからでもかなり時間がかかったような気がする」
時々向こうから歩いてくる人とすれちがうことがある。これならやつらの車が横を通っても気がつかないだろう。
山の中を30分ほど歩くと時々山の中に行く道があった。
「こんな感じの道があった。もちろんおれは道は通らないで木の間を走ったけど」
「別荘に行くための道なんだな。どの道に入るかだ」
「それだ。バス道に出たところに大きな岩があった」
「いい目印だ」
午後4時だ。二人は休まずに歩いた。そして、岩を見つけた。横3メートル縦2メートルぐらいある巨大な岩だ。「ここ、ここ」
すぐに左側の林の中に入った。木が密生していて暗い。「もうすぐだ」しゃかりき丸はどんどん進んだ。
のほほん丸の冒険
第1章52
別荘を出入りする道は危険なので林を進んだのだが、どちらに向かっているのかわからなくなったことがあった。木が多くてまっすぐ進めないからだ。
「ちょっとここで待っていてくれないか」しゃかりき丸がそう言って一人で探した。
しかも、別荘は規則正しく建っていないようだ。なかなか帰ってこない時もあった。
時間がかかっているときは、声を出すことができないので落ちている枝で木を叩いた。どこかにいる鳥が驚いて飛びたつことがあった。
しばらくすると、がさがさという音ともにしゃかりき丸があらわれるのだ。
「どうも道が曲がったり分かれたりしているようだ。それに木が多いの方向が分からなくなる」しゃかりき丸は言いわけをした。
「時間は十分あるから、慌てることはない。その家からバス道まで行ったときはどのくらいかかった。そこから考えよう」とアドバイスをした。
「そうだな。無我夢中だったが、10分ぐらいかな」
「ぼくらも、バス道からここまで10分ぐらいかかったからかなり近くに来ているはずだよ」
「なるほど。近づいているのまちがいないということだな」
「それでもわからないときは、暗くなってから別荘の道に出て探してもいいのだ。街灯はあまりないようだから、車のヘッドライトが見えたら林に隠れたら、安全だ」
「しかし、今までも、次の日に行くと、相手が先に行動を起こしていたことがあった。
今回もそんなことがあればもう見つからないぜ。『善は急げ』で今日決行する。もっとも家が分からないのはおれの責任だけど」
「分かった。とにかくゆっくり探したらいい」
しゃかりき丸は一人で探しつづけた。ぼくも一緒に探そうかと言ったが、一人のほうが集中できると言うのでぼくはここで待つことにした。
そして、30分後に、「見つけた。車もある。例の車だ」しゃかりき丸は興奮して戻ってきた。
「枝分かれしている道がまた枝分かれしている。そして、それぞれの道は林の中を通っているから、何重もの迷路に迷いこんだようになっている」
「よく見つけたな。ここから遠いのか」
「まあ、10分ぐらいかな」
「案内するよ。何か所の目印を頭に入れているから迷わずに行ける」
確かに林を出てすぐの別荘の横の道を進み、交差する道を右に行き、次を左に行くのだ。
ただ、別荘と別荘の間は何回も言うが林があるので、他の建物が見えないので、道があるかどうか分からないのだ。それに道を渡るときは気づかれないようにしなければならない。
しゃかりき丸はぼくのほうを振り返った。近づいたようだ。林に入った。
木の陰に行って、「あれだ!」と小さな声で行った。
木造の2階建てだ。屋根は赤く、壁は白い。他の家には裏にサンデッキと言われるものがあるがそれはないので、別荘らしい華やかさはない。
玄関が見えるほうに行くと黒っぽい車が停まっていた。
横からは監視カメラは1台しか見えないが、しゃかりき丸の話では、玄関と向こう側にあり、合計3台あるようだ。
「車があるということはあの女がいるということだな」
「そして、監禁されている人がいる可能性が高いということだ」
「これからどうする」
「救出作戦を練る。あの2階の窓近くまで枝が伸びている木を使うことにするよ」
「そうだ。おれもあの木に登って2階を覗いた。そして、人影が動くのを見た」
「あの木をうまく使うのが作戦の成否を決める」
「でも、この家の2階にはベランダなんかない。どうして窓ガラスまで行くのだ。
屋根もかなりの傾斜になっている。屋根に上れるのか」
ぼくはわざと芝居がかった口調で言った。「しゃかりき丸の見てのとおりだ。でも、ぼくには秘策がある」ほんとはどうしたらいいのか迷っていた。
のほほん丸の冒険
第1章53
「先にすることがある」ぼくは言った。
「なんだよ」
「助けた後、すぐにバスが来るとはかぎらない。また、遅らせたほうがいいかもしれないから、バスの時間を調べに行こう。それに、一番近いバス停は避けることも考えられる」
「そうしよう。それならルートももう一度確認できる」
用心しながらバス通りまで行って、一つ手前のバス停を探した。
そちらのほうが近くに倉庫があったので隠れることができた。始発は7時20分だ。
このあたりは住んでいる人がいないらしく、バスは頻繁に走っていないことも分かった。
次は隠れ場所だ。これなら、長時間隠れていなければならない。また戻ることにした。
ところどころ明かりがついている別荘もあったので、その近くは避けることにした。ようやく一帯が無人で床が高い別荘を見つけた。
これで、助けた後隠れる場所とバス停に行くルートを確認することができた。
元の場所に戻ってきたので、これから最後の作戦準備をした。
2階の窓は横1メートル縦50センチぐらいありそうだが、つかまるところは窓の上の庇と窓枠だけだ。
あそこまでどう行くか。一番近い木は、しゃかりき丸が登った木で、窓まで3メートルぐらいあり、枝は1メートルぐらいまで近づけるが細くて使うことができない。
窓から5メートルぐらい離れている大きな木は、枝も折れる心配がなさそうだが屋根ぐらいの高さだ。
ぼくはリュックサックの中身を確認して、それらの木をもう一度見た。
決まった。その時、ものすごい鳥の鳴き声がして枝が揺れた。鳥がこのあたりの木をねぐらにしているようだ。この2本にもとまったがそんなに多くはないようだ。
しゃかりき丸が、「この前も鳥がいたがこれほどとはな。気づかれてしまわないか」
「いや。大丈夫だ。これのほうが好都合だ」
「わかった。物音を消してしまうか。ぼくも決まったぜ。でも、おれはいつはじめたらいいんだ」
「ぼくがフクロウの鳴き声をする。その時だ」
「でも、本物のフクロウだったら作戦失敗する」
「なるほど。それなら、ぼくの鳴き声を聞いてくれ」
ぼくは小さな声でフクロウの真似をした。「へたくそだな。これならまちがえようがないよ」二人で笑った。
「もう一度作戦のタイミングを確認するよ。というのは、きみが言っていたように、窓を破ったりしても、女の人が監禁されていなかったら今後やつらがここに出入りしなくなる。そうなると女の人を助けることは永遠にできなくなるかもしれない。それは絶対避けなければならない。
それで、鳥が騒がしいときに窓に近づき様子を見る。そして、いると分かったら、フクロウの真似をするから、相手を玄関までおびきよせtrくれないか。
その間にぼくは窓を破って女の人を助ける。多分数分で助けられると思う。
すぐに隠れ場所に行く。きみは一人で隠れ場所に来てくれないか」
「OK。ドキドキしてきたぜ」二人で気を堕ちつかせている間に少し暗くなってきた。
2階の明かりがついた。さらに別の一団が帰ってきて騒がしく鳴いてあちこちの木の枝にとまった。
しゃかりき丸は監視カメラに中止ながら玄関のほうに行った。ぼくは黒くなってきた木を見てその形を頭に入れた。
そして、リュックサックを背負って短いロープで太い木を登った。決めていた枝まで行き、そこの幹に長いロープを2本きつく結んだ。確認してから2本のロープを持って枝を進んだ。
それから枝を伝っていき分かれ目のところから、2本のロープを下に垂らした。
一度失敗したが、2回目にしゃかりき丸が登った木の枝の分かれ目に入れることができた。
2本のロープを持ってそこに下りた。少し枝が揺れた。そこにいた鳥が鳴いて枝から離れたが、そう多くいなかったので気にならなかった。
ぼくは窓まで1メートル半ぐらいにいる。ただ、カーテンが下りているので中は見えない。
息をひそめていると話し声がするような気がした。ただ、電話で話をしているだけかもしれないので気をつけなければならない。
10分ほどすると影が見えた。それも二つだ。いる。まちがいない。
ぼくは息を深く吸ってフクロウの真似をした。
のほほん丸の冒険
第1章54
そして、息を止めて窓を見た。心臓が飛び出すのではないかと思うほど激しく打った。
しかし、カーテンに影など映らないので、フクロウの声が聞こえていないのかと思っていると、かすかに音が聞こえたような気がした。さらに、もう少しはっきりした音がしだした。
すぐさま窓の上についている庇(ひさし)の上を狙って矢を放った。
トンという音がした。矢についていたロープを引っ張った。うまく壁に食い込んでいるようだ。これなら、ロープを伝っていっても大丈夫だろう。
用心しながら窓まで行った。すぐにポケットに入れていた工具を使って音がしないように窓ガラスを割った。
破片を下に落としてから、左手で庇をつかんで右足を窓の桟(さん)にかけてさらにガラス片を取りのぞき、「誰かいますか。助けに来ました」と声を潜めて言った。
誰か急いで来た。女の人のようだ。ぼくは、「この窓から出て、ロープを持って下に降りてください。ぼくもすぐ降りますから」ともう一本のロープを渡した。
女の人は、「分かりました」と言って窓から体を出してロープを伝って降りていった。
ぼくは矢についているロープをナイフで切り、そのロープで下に降りた。
女の人は無事に降りたようでぼくを待っていた。「さあ。逃げましょう」ぼくは先に走りだした。
無我夢中で走りつづけ、ようやく決めていた別荘の床下に潜り込んだ。二人とも肩で息をして、物を言うことができなかった。
ようやく、女の人が「ありがとう」と声を出したが、まだ大きく息をしながらだった。
ぼくも、「いいえ」と答えたが、それ以上は言葉が出なかった。
少し落ち着いてきたが、床下は暗くて、この人が新宿駅でぼくにバッグを預けた人かどうかは分からなかった。
「どうして助けてくれたの」女の人は落ち着いた声で言った。
ぼくも、「新宿駅で子供にバッグを預けたことがありませんか」と聞いた。
「えっ!」という声が聞こえた。「あります。一人ですわっていた男の子に、すぐに取りに来るからと言って預かってもらったことがあります。でも、取りに行けなくなってしまって・・・」
「そうでしたか。その子供がぼくです」
「えっ!」今度もそういったまま黙ってしまった。
今このまま話を続けると女の人も困るだろうと思って、「もうすぐぼくより少し大きい子供が来ます。二人で救出作戦を考えました」と話題を変えた。
その時、「ののほん丸。いるか」という小さな声が聞こえた。
「こっちだ」ぼくは声をかけた。
「お互いうまく行ったな」しゃかりき丸はそう言いながらぼくらのそばに来た。
「こちらは監禁されていた女の人だ」
「ありがとうございました」女の人は年上と聞いたのか丁寧に礼を言った。
「いや。ののほんまるが考えた作戦ですよ。言い忘れましたが、おれはしゃかりき丸です。それと、こいつはののほん丸です。
聞いているかもしれませんが、なんでこんな変な名前かと言いますと、おじいさんがつけてくれたので仕方がないです。
おれたちの仲間はほとんどおじいさんにつけてもらっていまますのでね。誰も仲間の本名なんかわからないです。
おじいさんは、おれたちが堅気(かたぎ)の人間に戻った時のために親がつけてくれた名前を使うことを禁止しているんです」しゃかりき丸は饒舌だった。ぼくらが考えた作戦がうまく行ったからだろう。
ぼくは、「やはりこの人は新宿でバッグを預けた人だったよ」としゃかりき丸に言った。
「ほんとか。作戦は何かも成功したんだ」
「ありがとうございます。わたしはミチコと申します」
「今頃やつらは慌てているだろうな」しゃかりき丸は自分のしたことを言いたそうだった。
「どんなことをしたんだ」
「きみがフクロウの真似をしただろう。おれは気合を入れてインターホンを押した。ドアが開くまで心臓が口から出てきそうだったぜ」
のほほん丸の冒険
第1章55
「階段を降りる音がした。そして、玄関が開いて女が顔を出した。
暗くてよくわからないが、若くはない。おれが子供だと分かって、『どうしたの?』と聞いた。
『突然すみません。パパと別荘に向かっていたのですが、パパが、今車の中で、『胸が苦しい』と言って運転できなくなったんです」おれは必死に言った。
『それは大変じゃないの。どこかにぶつからなかった』
『それはありませんが、声をかけてもぐったりして返事しないんです』
『早く救急車を呼ばなきゃ』
『そうなんですが、後から来るママの車に荷物を全部をおいてきたんです。
それまで待てないので、明かりがついている家で電話を借りようとしたんですがなかなくて。ようやくここを見つけたのでインターホンを押しました』おれはさらに必死で言った。
『分かったわ。少し待って』女は家に入りそうになったので慌てて止めた。
とにかく10分稼げとののほん丸に言われていたのでな」
「それでどうした」ぼくが聞いた
しゃかりき丸は一息入れた。ぼくが次を聞きたくて体を乗り出したことが分かったんだろう。
「『すみません。お聞きしたいことがあります』おれは戻ろうとする女を引きとめたさ。
『なんなの』
『このあたりの住所を教えてください。救急車に言わなくてはなりませんので』
おれは住所を聞きだして、『すぐそこですからパパの様子を見て戻りますので』と言ってそこを離れた。
多分女は携帯を取りに行ったのだろうが、おれはそのままここに来たんだ」しゃかりき丸は作戦を説明した。
「なかなか上手な芝居をしたね」
「きみにはかなわないど、相当考えたぜ」
少し間をおいて、ミチコが、「そこまでしてわたしを助けてくれたんですね」
と言った。
「いやいや。作戦どおりにいけば楽しいもんで」しゃかりき丸は上機嫌だ。
「ところで、どうしてわたしが新宿でバッグを預けたことが分かったの」
これはぼくが答えなければならない。「あなたに返さなくては思って毎日駅に行ったんですよ。
そうしたら、やつらはあなたがぼくにバッグを預けたところを見ていたようで、ぼくを見つけてバッグはどうしたんだと聞いてきたんです。
それで逃げたんですが、今度はぼくがあいつらはどうしてバッグを取り戻したいのか知りたくなったんです」
「おれは、のほほん丸の代わりにやつらのことを調べるための影武者として連れてこられたんですがやつらに捕まってしまったです。
でも、ののほん丸に助けてもらったんですが、今度はののほん丸が捕まってぼくが助けたりしている間に、ののほん丸はやつらから多くの情報を集めたんです。そうだな、ののほん丸」
「そうです。やつらには大きな秘密があると感じて追いつめていくことにしたんです。
そして、しゃかりき丸が車のトランクに潜り込んでここを見つけたんです」
「よくわかりました。わたしがあなたにバッグを預けたばっかりにお二人に大変な目に合わせました。ほんとにごめんなさい」ミチコは涙ぐみながら謝った。
「そんなことはないです。おれはののほん丸と知り合いになって頭を使えば、人生はおもしろくなるということを覚えましたから。
それまで、大人からちゃんと生きろと説教されても親もいないのにそんなことできるかと思っていました」しゃかりき丸も真面目に自分のことを言ったので驚いた。
ぼくは、「あなたが見つかってよかったです。バッグは帰ったらすぐに返します」と話題を変えた。
しゃかりき丸も、「やつらは今頃慌てているぜ。2階の窓が破られて人がいなくなっているんだから。『また子供か』てなもんだよ」とくすっと笑った。