講演会ビジネス
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復活ノート
「講演会ビジネス」
有名人が、「子供のとき誰かの話を聞いて、自分も、その人の職業をしたいと思ったのが、今の成功につながりました」というのをよく聞きます。
子供のときに聞いた話は、心に残るものです(それは、自分の経験でもわかるような気がします)。
霧がかかった世の中で、この道を行けば、すばらしい世界が待っていると教えてくれるのですから。
しかし、親は、なかなか自分の子供には話がしにくいものです。いつも書いているように、子供は、あまりにも自分自身近すぎて、客観的に見られないからです。
学校の教師も、その余裕と経験がありません(大勢の若者が、振興宗教にマインドコントロールされるのは、大人の話を聞いたことがないからかも知れません)。
私も、若い頃、羽仁五郎や高橋和己などの講演会に通ったものです。知識不足から話の内容はよくわかりませんでしたが、「その人」に会ったことで高揚したものです。
タレントの講演会も、どんな話をするかというより、「その人」を見てみたいだけで多くの聴衆がつめかけます。
ギャラもランクが決まっているようです。今は知りませんが、10年ほど前は、女性では兼高かおるや黒柳徹子などが、アゴ(ホテル代や食費)・アシ(交通費)別で、100~200万円とかいっていました(今は、テレビに出ているタレント、ニュースキャスター、学者などは、もっと高いでしょう。因みに、私は、商工会議所などで話をすれば、20万円ぐらいいただいています)。知名度と知性があれば人気が出て高くなるのでしょう。
子供たちにとって、一生懸命自分の道を開拓している人の話は有意義でしょうが、大人にとっても意味があります。
私なら、こんな話をします。「人生は、男女の仲といっしょで、好きだ、好きだといっておれば、向こうも好意を見せてくれるかもしれないが、嫌いだったら、ほほえんでくれることはありません。
若いときは、夢なんかなくても、いろいろがんばっておれば、自分の天職が見つかるかもしれません。逆に、いろいろやり、失敗したために、人生知が身にいて、スケールの大きい大人になるでしょう。
しかし、年を取ると、夢が必ずいります。夢を杖代わりにするのです。他のことはほっといても、これだけはという思いがあればうまくいくのです。
『まだらボケ』という言葉がありますが、私たちには、『まだら青年』ということもあります。たとえば、気持ちのいい日などに、体からエネルギーがわいてきて、『どんなことでもできるぞ』という気持ちになるときがあります。
そんなとき、夢がなかったら、『さあ、今日は気合い入れてテレビを見よう』とか『勝つまでパチンコをするぞ』としか思いつきません。
人生は長いです。老後はもっと長いです。とにかく夢が気恥ずかしいのなら、自分を出せるものを見つけてください」
予算がついたからといて、話題の人を適当に呼ぶ自治体が多いのです。しかし、ありきたりのタレントでは、大人を動かすことはできません。
まず講演の意義を打ちだして、自治体、学校へ売りこんでいくのです。
社会は、このビジネスを待っていると思います。