それにひきかえ

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「それにひきかえ」
「子供手当」を心待ちにしている親は多いやろ。これで、「回転ずし」に連れて行くとき、まず家でおにぎりを食べさせる「上げ底作戦」を取らんでもええもんな。
せやけど、ぼくのまわりのお婆は、みんな反対している。
「子供は、親の苦労を見て育つんや。親が人に助けてもろたりすると禄でもない子供になるわ」とあいかわらず口が悪い(自分らはもらわれへんしな)。
そんなことゆうても、大学生の生活費が景気のええときの3割少なくなっているそうやから、親も子もたいへんなんや。
沖縄の大学を卒業する新卒の「就活」の様子をテレビでやっていたけど、ほんまに気の毒や。
漫才コンビ「ロダン」の左のほうに似ている、かわいいボンが、東京・山谷で一日2000円の木賃宿を借りて、毎日会社回りをしている。
「これからも、『明日はどうなるのだろう』と思って生きていくのはちょっと辛いですね」と穏やかにゆうていたけど、地元の沖縄は東京以上に不景気のようや。
昔の映画に「大学は出たけれど」ゆうのがあったけど、医者や弁護士の試験よりむずかしいとゆわれている公認会計士の試験に合格した人でも仕事がない状況やから(3年の実務経験がないと公認会計士の仕事はでけへんのやて)、国は、まずこっちのほうの対策を取らんとあかんのとちがうか(若いもんの不満を掴んで、また新興宗教やマルチ商法が動きだしたらどうするんや)。
「人は人、自分は自分」と思うまでには、長い人生経験がいる。その境地を若いもんに求めるのは無理や。
それには、「それにひきかえ」とゆう菌との長い戦いがあるんや。
「それにひきかえ」菌は、傍(はた)から「がんばれ、がんばれ」(自分からの「やったるで」も)とゆわれつづけたら出てくることが多い。
ぼくも、子供のときから、すねたりひがんだりするほうやった(父親や叔母の言動を見ていると、どうも遺伝が強そうやで)。
しかも、こいつに犯されると、自分の境遇が変わっても消えへんようや。
25ではじめた事業が30ぐらいで軌道に乗り、収入がどんどん増えて、家や車を買えるようになると、「サラリーマンはたいへんやな。それにひきかえ・・・」と思うようになった(今は、「みんながんばっている。それにひきかえ・・・」と元に戻ってしまったがな)。
ところで、この「それにひきかえ」は、他人にも向う。
高貴なお方の子供が学校でいじめらているそうやけど、お婆たちは、「やっぱり親子似ているんやな。それにひきかえ、弟さんとこは夫婦とも穏やかなそうやから心配ないやろ」などとゆうている。
また、「それにひきかえ」は、そのまま口から出んと、姿かたちを変えて出てくる。
映画評論家おすぎが、ビートたけしが映画を作りだしたとき、「あんなやつに作れっこないわよ!」とゆうていたけど、フランスから勲章までもうてしもたで。
レッドソックスの松坂は、日本から来た選手に、「まず妬みに耐えろ」とアドバイスをしているそうやけど(ものすごい契約金やもんな)、日本の若いもんが、誰かを妬んだり、あるいは、そのことで自分を否定しようとせんといてほしいと願うばかりや。
「近所はみんな貧乏や。それにひきかえ・・・」と親に思わせてもうた幸せな人もいるかもしれへんけど、「それにひきかえ」は、死ぬまでついてまわる。
せやから、人生とは、それとのつきあいのことなんやろや。

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