大きな岩
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ほんとにヘンな童話100選」の(151)
「大きな岩」
昔々、都から遠く離れた山の中に100戸ほどの小さな村がありました。
南側の開かれた場所にありましたので、日当たりはよく米や野菜は早く大きくなりました。
また、まわりは大きな木に囲まれていmすので、夏は涼しい風が吹き、冬は雪や北風から守られているので、一年中とても過ごしやすいのです。
みんな働き者で朝から晩までは野良仕事や山仕事に汗を流しました。それに、仲がよく、どこかで困ったことがあれば、みんなで助けあいました。
旅の途中で困った旅人がいれば、村中で世話をしました。
元々、もっと小さく、50戸ほどの村だったのですが、助けられた旅人が感激して、「ぜひ村に住まわせてほしい」と頼んだので、倍に膨らんだのです。
そんな平和な村に妙なことが起きました。ある朝、村人が起きてみると、20戸ほどの家の前に、屋根まで届くほどの大きな岩があったのです。
岩があった家は、岩が家に接するほど近くにあったので、表を使うことができないので、裏から出入りするしかありません。
その日は、村人仕事に行かず、全員で村中を見てまわりました。子供たちは不安で泣き、としよりは、「こんなことははじめてじゃ」と口々にしゃべり、若い者は、「山の上から落ちてきたにしては、みな家を追いつぶすことなく、すぐそばまで来てぴたっと止まっておる。それに、岩が落ちてきた様子がどこにもない」と不思議がりました。
「これからどうしようか?」と話しあいが持たれましたが、「その前に言っておきたいことがある」と村長が言いました。村人は村長を見ました。
「これは人間ができることではない。しかも、一晩の間に岩が置かれている。
ということは、神様がされたことにはまちがいないと思う」
みんなうなずきましたが、一人の若者が、「それでは、神様はなぜこんなことをされたのですか?」と聞きました。
「さあ、そこじゃ。岩がおかれた家は、神様が何か伝えようとしたのじゃな」
すると、岩がおかれた家の主人が一人、、「それじゃ、何ですか!わしが何か神様の機嫌を損なうことをしたということか!」と大きな声を上げました。
「そうだ、そうだ!」後の9戸の家の主人も同調しました。
「いやいや。そんなことを言っているのじゃない」村長は慌てましたが、うまく言うことはできません。それくらい妙なことが起きたのです。
岩がおかれた家はひどく怒り、村中で岩を取り除こうという提案を断りました。
「まあ、そう怒るな」誰かがなだめましたが、「わしらには罰が当たったじゃ。わしらに関わるとおまえたちの家にも岩がおかれるぞ」と答えました。
そう言われると、誰も岩のことを言わなくなりました。
あれだけ仲がよかった村にも妙な空気が流れるようになりました。岩のある家の家族が通るとすっと消えたりするようになりました。
それが辛いのか、岩のある家だけでなく、そうではない家の中でも、ここを出ていく家が出てきました。
しかし、どうすることもできません。そのとき、岩のある家の主人です。元々どんなことが起きてもあわてない性格で、「まあ、なるようになる」というのが口癖でした。
その男が、村のはずれに、「神様のいる村」という看板を立てました。
最初、「村を見世物にするのか」と言う村人もいましたが、男は、「まあまあ。わしに任せてください」と答えるだけでしたので、村人は何も言わなくなりました。
やがて、その岩を見ようとする者が押しよせてくるようになりました。
いつのまにか、茶店や旅籠(はたご)がいくつもでき、まるで門前町のようになりました。後から「大岩神社」ができました。
どこかへ行っていた村人も、その噂を聞いて帰ってきました。
看板を立てた男は、近在の村から相談を持ち掛けられるようになり、今日も朝から山向こうの村に行きましたとさ。