誰でもよかった(2)
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「誰でもよかった」(2)
前回、敵が見えないほど恐いことはないとゆうた。
企業などの組織では、派閥争いで怪文書(「紙爆弾」とゆわれる)が横行するのは、そのためや。相手が勝手にこけてくれるかもわからへんし、陰で笑ろていられる。
「A専務は、会社の金を使いこんでいる」とか「B常務は、女子社員に手を出した」とか、引きずりおとすためには何でもこいや(もっともかなり事実がある)。
ぼくも、会社をいったん畳んだのは、それが遠因かもわからん。内容から判断して、ほん近くにいる部下にちがいない。4,5人の顔が浮かぶけど、どうもわからん。疑心暗鬼から睡眠不足になって、毎日イライラする(ぼくの場合は、4、5人がグルやったけどな)。
そんな修羅場でなくても、見えない敵はなんぼでもいる。
現代人にとって、一番恐いのは紫外線とウイルスやろ。紫外線は、どんなものかわかっているけど、例のオゾンホールの拡大でどんどん増えているし、黒い日傘の下からも攻めてくるんやと。シミだけやったらええけど、ガンにもなるらしい(ガンよりシミのほうが怖いとゆう奥さんもいる)。
ウイルスも、ワクチンを作ると、すぐに「こんなんできましたけど」ゆうて、新しいウイルスが出てくる(鳥インフルエンザが、人間にもかかるようになってきた。それが黄砂で運ばれてくるようになる)。
見えんものはもっとある。自分の将来どころか、今が見えんとあせる若いもんがいる。そうすると、誰が悪いんやと思うようになる。まわりを見ると、楽しそうな人がいっぱいいる。そうすると、「誰でもよかった」と、伊右衛門のように切りまくる。
あるいは、見えない不安は内にこもって、うつ病になる(30代の自殺者が過去最高と出た)。
「誰でもよかった」は、傍目(はため)からうらやましいと思われているもんの口からも出る。
ぼくは、サラリーマンを一年半したけど、そのときの上司二人は(とゆうても、25、6才やったけど)、ぼくが今まで出会うた中で一番男前やった(ようこんだけ整うたなあゆう顔をしていた)。いつも女子社員がたかっていたし、ホステスが取りあいしていた(ぼくもいっぺん身を任せたかった。気色悪っ)。
よう飲みにいっていたけど、二人が話をしているのを聞いてショックを受けた。「何で、あんなんに手ぃ出したん?」、「たまたま女がいなかったんで、誰でもよかったんですわ」(あのときぐらい、不自由な顔に生まれたことを恨んだことはない)。
警察の冤罪事件も、「捕まえる」とゆう行為をしたくて、「誰でもよかった」ゆうのがあるのとちがうか。
この前鹿児島であった「選挙違反事件」でも、捜査の途中で、同窓会に行っていたゆうアリバイがあるのに、最後まで行ってもうた。
将来が見えない、女が見えない、真犯人が見えないとなると、誰でもあせるのやな。すると、「誰でもよかった」になる。どちら様も、あせるとろくでもないことになるのは知っていてほしい。
伊右衛門は、毒殺した奥さんのお岩さんに切りつけたけど、結局お岩さんは自分の心から出たんとちがうか。