30年間

   { }

復活ノート

「30年間」
ダイエーが、32年ぶりに1兆円の売上げを切ったとか。
「スーパー初の1兆円の売上げ」というテレビニュースで、どこかの店のレジの横にいた中内社長が、「今、1兆円だ!」と叫んでいたのは今は昔のことです。
それからバブルになり、中内社長は買収屋になりました。そして、今や底知れない不況が社会を覆っています。
ダイエーの場合は特異なケースですが、30年は、いかに大企業でも、そう簡単に乗りきれる時間ではないということでしょう。
人は必ず死にます。その原因はほとんど病気です(老化は仕方がないとしても)。
誰かに殺されるのは、ニュースにはなりますが、死因としては微々たるものでしょう。
つまりは内から死んでいくのです。
「法律上の人」である法人も、殺されるより病気のほうが多いと思います。つまり組織の病気です。
今苦戦しているトヨタは、アメリカにいる幹部が、生産を減らすようにと進言していたのに、ひたすら拡大路線を取ったといいます(リコール問題でも、報告を受けていたのに対策を取らなかったようです)。
JALも、会社のためにどんなことを言っても、高い壁があるので届かなかったと、現役のパイロットが答えていました。
つまり、30年の間に、社会が大きく変わるので、それに対応した組織にしなければならないということなのです。
そんな世界的な企業のことは置いとくとしても、私たちがこうなったのは、組織の変革を忘れたのが原因かもしれません。
売上げの低迷、金策などで、それどころじゃないと思ったのでしょう(社長である自分の言うことを聞いておけばいいのだと考えがちです)。
また、短期間に大きくなった場合で、人も組織も育っていないので、足元をすくわれることもあります。
近所に有名なケーキがあります。山にできた新興住宅にあるのですが、評判が評判を呼び、創業5年目で、一店の年商が10何億あるということです。
毎日のように横を通りますが、店内に入るだけでも1時間以上待たされるほどの人が詰めかけています。
先日、そこのケーキを買うために、電話をかけたのですが、当日予約はやめたということなので、明日は聞くと、4、5日間は予約できませんという返事です。
それなら、最初からそういってほしかったのですが、スタッフも、客にどんな印象を与えるか考えられないほど忙しいのでしょう。
知りあいが、そこには二度と行かないと言っていましたから、これかと思いあたりました。
私の場合も、25才で創業して、50過ぎでの破産となりましたから、30年の時間に負けたことになります。
株を買う場合でも、子供の嫁ぎ先を判断する場合でも、まずその会社、家族の組織を見るのがまちはいないかもしれません。
若い人起業を希望している場合は、人も組織も柔軟性が必要なことを教えてください。
もちろん、あなたが再挑戦する場合も、それをお忘れなく。