忘れもん

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「忘れもん」
この前大腸検査を受けた。肛門からカメラを入れるやつや。半年前、胃ぃがちくちくするようになって、消化器専門を標榜している近くの個人病院に行った。頼りなさそうな医者やなあと思うたけど、まあ、取りあえずと診てもらった。
そうしたら、出してくれたガスターですぐ治った(ガスターで胃ぃに穴が開いた看護師を知っていたので、薬屋でも買わなかったのに)。
それから、胃カメラ検査で胃潰瘍が見つかり、血液検査でピロリ菌もいるのがわかったが、1週間薬を飲むと、どちらも治った。
聞くところによると、ピロリ菌は、戦前戦後の衛生状態の悪い時代に生まれたもんに住みついているそうな。
そうすると、ぼくの中のピロリ菌は、60年以上ぼくと苦楽を共にしてきたのやな。まさか1代ではないやろけど、「この胃ぃの主人は、よう癇癪を起す」と伝えているやろな(ピロリ菌は、胃潰瘍やがンを引きおこすようやけど、主人であるぼくが死んだら、やつらも終わりやから、ほどほどに暴れろとゆう家訓でもあったのやろか。
そんなこんなで、胃ガンのおそれが少し減った安心感もあるが、長年連れそってきたペットがいなくなったような淋しさもちょっとある。
とにかく、調子に乗って、「大腸検査もしますわ」とゆうてしもうた。
これも、下剤と「腸洗浄」とゆう下準備がいる。子供のとき、「カンチョー!」をしたが、ほんまに入れられるんやなと緊張したが、注射で眠らされてわからんかった。
「今から映ります。見ますか」とゆう声で目が覚めたので、画面を見ると、オレンジ色をした管がにゅるにゅる続いている。
テレビの健康番組で見るとおりのもんや。上行結腸、横行結腸(坂口良子の場所や)と肛門まで戻っていく(カメラは、ラミレスみたいに戻るときに映るんや)。
きれいなもんやけど、いつもなら、ここには・・・。それは、ぼくのようなおっさんの腸も、武井咲の腸も一緒や。
この洗浄をしたら、便秘で困っている女の子もすっきりするんやないやろか。また、頭の中も洗浄したら、忘れたいもんを流せると、検査が終わった解放感で考えたが、そんなことをしたら、残り少ない脳みそもなくなってしまうがな。
人生には、忘れたいことも多いけど、必要なことを忘れないようにするのが大事や。
この前、次女と主人が、「ごちそうしたる」ゆうので、ナンバに行った。ぼくは、近くに行くときでも、出かける準備をきっちりしたいほうや。
「今日は完璧や」と出かけたが、ナンバについたとき、部分入れ歯をポリデントでひっつけるのを忘れたのに気づいた(つけんかったら、入れ歯が浮いてごちそうとぐちゃぐちゃになるので、次女たちの手前カッコ悪いからな)。
最近は、何を忘れるやろかとゆう境地に達しているが、「やってもうた」と航海しながら、ダイコクで買うた。
結論を急ぐと、「忘れる」というのには二つあるように思う。一つ目は、前もってメモしていたのにうっかり忘れることと、その場の状況で、「まさか。これがいるとは」となって、何かを用意していなかったとゆうのが二つ目や。
親とゆうもんは、人生には学歴や職業、そして、配偶者がいる。しかも、恥ずかしくないものをと思うて、塾や習い事をさせるのやろ。どれかを忘れたら、みじめな人生を送ることになるからな(そんなもん、途中で調達したらええのやと思う親もいるやろけど)。
しかし、年を取ると(親もいないで)、二つ目の忘れもんがいっぱい出てくる。それでも、あわてず、自分で工夫するのが、ほんまの賢さなんやろな。
ところで、大腸検査では、上行結腸に2ミリぐらいのふくらみがあった。それもポリープとゆうのか聞き忘れたけど、今、悪質かどうか検査してもらっている。
20個ぐらいあって手術するもんがいるから上出来や。病気にでもなったらたいへんや。メモしていても忘れもんがいっぱいあるから。

 -