スーパーにて

   

今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~

「スーパーで」
―不景気やなあ
―そうやなあ
―「貧すれば鈍する」とゆうやろ。世の中の人間、他人に対する思いやりを忘れとる
―むずかしいこと知っているなあ。せやけど、なんでや
―家(うち)に、宅配便が全然来ん
―それは、おまえとこの問題で、不況に関係ないわ
―そんなもんか
―そんなもんじゃ
―ぼくは、「つもり貯金」している
―すごいやんか。毎日何か買うたつもりで、貯金するのやなあ
―ちょっとちがう
―どこがちがうねん
―何も買わへん。毎日1万円を貯金したつもりになるだけや
―あほくさ
―それじゃ、気分を変えて歌でも歌います。
♪ぼろーは着~てても~、こ~ころの錦どんな花よりきれいだぜ~♪
―確かに貧しくても、プライドはもっとかんとなあ
―この前、うちの嫁はんが、スーパーに行ったとき、3割引の肉を見つけたんや
それを取ろうとしたとき、横から、すっと取ったもんがいる。見ると、そのスーパーのレジ係りやないか
―そりゃ、ひどいなあ。自分で買いたかったんやなあ
―日曜日に、デパートへ行って試食を食べようとしたら、子供がいっぱいたかって、食べられへんかった
―いやしいことすんな
―あれ楽しみやねん。そのあと、薬局で、無料のハンドクリームをぬりたくる
―ますますいやしいなあ。スーパーの担当者に聞いたけど、子供が、試食を何回もしても注意したらあかんらしいで
―ぼくやったら、「おい、坊主、なんぼ食うたら気がすむねん。家で食わしてもうてへんのか」と叱るけどな
―そんなことゆうたら、親が、「おい、今、家(うち)の子供に、坊主とかゆうたらしいなあ」と怒るで
―そんなことゆうてまへん。お宅の坊主、いや、おぼっちゃんに、「家の家計を心配して、たくさん召しあがってらっしゃるのですか。親孝行ですね」とはゆいましたけど
―親は、よけいに怒るわ。
―今日(きょうび)、世間はおとなしすぎる。親にでも、きっちりゆわんとあかん
―どうゆうねん
―「大人と子供のけんかに、親が出てどうするんですか」
―ややこしいわ
―ところで、踏襲を「ふしゅう」、有無を「ゆうむ」と読んで笑われている麻生首相やけど、ええ言葉を知っていると思わへんか?
―なにおいな
―「さもしい」ゆう言葉や。これは今こそ思いださんとあかん言葉やで
―確かにな。金持ちは、定額給付金なんかもらわんでもええゆうたんやな
―定額給付金については、きみはどう思う?
―そうやあ。ホームレスも、死刑囚も、これを、みんなのために使ってくださいと受けとらへんかったらおもろいやろな
―さすがにええとこつくなあ
―情けないけど、国民は国を思い、政治家・役人は自分を思うのが現実や
―涙出てくるなあ
―昔、あとで首相になった池田勇人は、大蔵大臣のときに、「貧乏人は麦を食え」とゆうたのは有名やろ
―聞いたことある
―池田は、「米の値段は上がっているけど、麦の値段は上がってへん」とゆいたかっただけらしいけど、政治家は、ていねいに言葉を使わんとあかん。
「さもしい」だけでは、これからどうするかゆうことが伝わらん
―ほんまやな
―それに、時代はどんどんかわる
―どうゆうこと?
今は、麦の方が高くなっている
―それじゃ、ちょっと行ってくるわ
―どこへ
―麦飯の試食をしに、スーパーへ
―いいかげんにしなさい

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