店にて
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「店にて」
ぼくは、介護コンサルタントや起業コンサルタントをしながら、おとしよりの弁当の店をしている(ほとんど配達や)。
賃貸マンションに囲まれているけど、そこの住民は買いにこないので、午後はのんびり電話番や。
本を読んだり、文章を書いたりしながら、前を通る人を観察している。店はベッドタウンのはずれにあるから、登下校する生徒や、斜め前にある透析専門病院の患者がほとんどや。
せやけど、通る人を見ていたらあきんな。しかも、人間の盛衰もわかる。生きた人物図鑑を見るようや。
親といっしょに保育園や幼稚園に行っていた子供が、一人で小学校に行くようになり、さらに、年月が立つと、変声期特有の声を出して通りすぎる。
男子でも、女子でも、一人で登下校する生徒の、何か考えごとをしている表情が好きや(好きな子のことばっかり考えていた大昔を思いだすわ)。
社会が変わっても、大人になるということは変わらへんのやろ。しかし、体形はだいぶ変わっている。若秩父みたいな体をした女子中学生や、K1のチェ・ホンマンそっくり(背ぃやないで、顔が)の、こちらも女子中学生が通るけど、持ち前の明るさで、社会の荒波に負けずに生きてほしいもんや。
それはええのやけど、手ぃつないで帰る中学生のアベックがいるけど、今日(きょうび)、あれもあり?
障害の子供も多いな。走りまわるので、先生や親が追いかけているときもある。
ぼくの会社も、障害児などに係わっているので、話をよう聞く。フツーの子供と同じで、成長しているのがわかる。
昔は、そんな子供は少なかったとゆわれるけど、昔は隠していたんやな。子供のとき、牛小屋に閉じこめられている女の子を見たことある。
ぼくらを見ると笑ったので、気味が悪くなって逃げたけど、ほんまはいっしょに遊びたかったんやろな。家から、5,6分の家やったけど、近所でもタブーやったんやろ。
おとしよりも通る。大きなピアスしているおじいがいるけど、あれは何もんや。
だんだん歩くのがしんどくなって、杖や「セニアカー」がいるようになる人もいる(無茶苦茶早いセニアカーがあるけど、あれ、いらちのじいさんが、モーターいじっているのやろか)。
人物図鑑ではあるけど、犬も多いな。混血が純血を連れてとからかったことがあるけど、犬や猫がいないと淋しい人もおるんやろな(最近、どこへ行くのでも犬を連れているおっさんが増えているような気がする。これもムーズできる)。
透析患者も辛そうや。顔色が悪いうえに、ぐったりして帰っている(糖尿病からも、透析を受けるようになる場合もあるから、気ぃつけや)。
ちょっと変わったもんも多い。山下清そっくり格好をして(つまり、半ズボンとシャツ1枚で、大きなリュックサックしょって、頭は丸坊主)、必ず本を目の前に広げて歩いている。多少障害があるやろけど、社会での生き方を考えたんやろな。
万引き夫婦もいるで。大きなスーパーでタオルの間に天ぷらなんかをはさんで出るのを見たことがある。みんなわかっているようで、あちこちのスーパーで出入り禁止になっている。まだまだいるけどキリがない。
向こうも、ヒマそうなおっさんがいつもこっちを見ているでと思うているやろな。
お互い、見つつ見られつでいたらええがな。
ぼくは、6年近くここにいる。25才で会社を立ちあげて、働きづめやったけど、30年後にけつまずいたとゆうわけや。
多分、原因は世間を見下したことやろな。似合いもせんのにブランドもんに身を包み、人が振りかえるような車に乗るのが人生の目的と考えていたからな。
今は、服はリサイクルで、車は次女のお下がりやけど、毎日楽しい。
「もう物欲はないでしょう」と昔を知っている人はゆうけど、もっと楽しくなることを考えるかもわからん。
アメリカで映像を勉強している次男と組んで、ディズニーもびっくりするようなもんを作るのもおもろいで。お互い、自分の人物図鑑はまだ終らへん。