今風「青菜」
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
今風「青菜」
「源さん、精出るな」
「これはご隠居。今日はこれで失礼します。ここのお庭は立派やから、明日また一所懸命させていただきます」
「それはおおきに。ところで、おまはん、『柳陰』飲んでかえ」
「どこかで聞いたセリフでんなあ。せやけど、ご隠居、ご好意ありがたいのですが、今日(きょうび)、そんなもん飲むもんおまへんで。わたいは、冷たいビールや焼酎のロックです」
「あんまり冷たいもんを飲むと、腹こわしまっせ」
「お言葉ですが、世間は温暖化やから、体も冷やさんとあきまへん」
「何事もほどほどがよろし。そうでなくても、えらいことになっているのに」
「なんです?」
「おまはん、テレビや新聞を見てしまへんのか。例のメタミドホスやないか」
「それは、いつも『かか』に、夜中にいやしいまねすると、メタミドホスになりまっせゆうて怒られていますよってに」
「それはメタボやないか。いいえなあ、輸入米から農薬のメタミドホスが出たきたゆうて、上を下への大騒ぎやないか。以前は、餃子からも出てえらいことになったとこや」
「わたいは、焼酎でっさかい安心ですわ」
「焼酎作るのにも、米がいるのや。それで焼酎を回収しているとゆうことや」
「それは知らんかった。『かか』は何もゆいよらん。さては、わたいの生命保険を狙ってけつかるな」
「これこれ、そんなこといいなさんな。おまはんの嫁は、おまはんにはもったいないほどようできている。最近は、メラミンが問題になっている」
「それはよう知ってま。『かか』が、シミができるのはメラニンの仕業や。シミと皺がなかったら、もう一花咲かせるのにといつもゆうていまっさかい」
「それはメラニンやろ。しかし、メラニンがあるから紫外線を防いでくれるらしいで」
「ご隠居、せやけど、なんでそんな危険なもんを輸入しているんです?」
「日本の農業を守るために、外国の米を買うとゆうことらしいけど、ゆうことはきっちりゆわんとあきまへんな。ところで、鯉の洗いは食うてか」
「寄生虫が恐くて」
「それなら、青菜はどうじゃ」
「残留農薬が心配で」
「人聞きの悪いことゆうやつやなあ。うちのは、特別に作ってもらっている有機野菜じゃ。
急に神経質になりおって。
「奥」がちょっと用事で出たんやが、植木屋さんに食べてもうてゆうて作ったもんを、まずくて食べられへんゆうことやな。今後、おまはんには、何にも食べてもらわんでもよろしい」
「ご隠居、滅相もございません。冗談ですよ。
『かか』に、こちらの奥様に教えてもらえとゆうているぐらいおいしゅうございます」
「『奥』の代わりに、おまはんに相手をしてもらおうか」
「それじゃ。わてらの暮らしは九郎判官」
「地道が義経、義経」
おあとがよろしいようで。