ののほん丸の冒険 第1章96~100

   

ののほん丸の冒険

第1章96
ぼくと奥さんは驚いてしゃかりき丸の顔を見た。しゃかりき丸は、ぼくらを見て、「電話はおれが見張りのために貸してもらっている自動車修理工場の人なんだ。山田さんというのだが、昼休みによく話した。
でも、ののほん丸が決めたように父を探していると言っていた。こんな車でプレートナンバーはこうでとか言っていたんで、おれを気の毒に思って覚えていてくれたんだろうな。ちょうど修理が終わった車を見送る時に、おれが言っていた車が信号待ちで止まったそうだ。
それで、おれのために追いかけてくれたんだ。話を聞くと、確かにののほん丸が見張っていた交差点を左に曲がったそうだ。
その後、車は何回か交差点を曲がってあるビルで一人を下ろしたそうだが、外国人だったようだ。それから、20分ぐらい走って、あるビルに入っていたそうだが、それを教えると言ってくれているんだ」
「それはすごいじゃないか」ぼくは思わず叫んだ。
「そうだろう。明日案内すると言ってくれているんだぜ」
「迷惑はかからないか」
「おれもそう言った。でも、自分の父親も会社がつぶれて蒸発したことがあるから、きみの気持ちはよく分かると言っていた」
奥さんが、「その方にお世話になりましたが、佐々木も必死で主人を探しているようなので、絶対危険を冒してほしくないです」と言った。
「それはそうです。おれは今から三上さんに連絡します。奥さんの考えも言います」しゃかりき丸はまた駅の静かな場所に戻った。
奥さんは、「みんなに迷惑をかけるのは申しわけないです。これだけの証拠があるのですから、もう一度警察に行ったほうがいいのではないかと思います」と頭を下げた。
「早くご主人を探すためにはどんな方法がいいかをみんなで考えましょう。とにかくしゃかりき丸を待ちましょう」ぼくはそれ以上の言葉をかけることができなかった。
しゃかりき丸が帰ってきた。「予想していたように三上さんは明日来てくれるそうだ」と笑顔で言った。奥さんもつられて笑顔になった。
翌日、研究所の前で三上さんを待った。軽トラはすぐにやってきた。
奥さんは三上さんに礼を言った。「ようやくわかったか。あいつらを見失ったのが悔しくて寝られなかったよ」と言った。
「それじゃ、行きましょう」しゃかりき丸が急かせたが、奥さんはいつもの場所で見張ることにした。見送る時、「危険なことは絶対しないでください」と改めて言った。
10分ほどすると、しゃかりき丸が見張っていた交差点が見えてきた。すぐ手前に自動車の修理工場があった。
しゃかりき丸は軽トラを下りて、工場に走っていった。すぐにしゃかりき丸と男の人が出てきた。人がよさそうな笑顔だ。30代ぐらいか。
しゃかりき丸は、「これは弟の幸平です。こちらは父の友だちの吉岡さんです」と初めて聞く名前を言った。
「山田です。良平君が一生懸命お父さんを探しているので気の毒に思っていたのですが、聞いていた車に似たのが止まったので、何気なくナンバーを見たら、そうだったので、思わず追いかけてしまったんですよ」と明るく答えた。
しゃかりき丸は相当話を作っていたようだ。
「山田さん。それではよろしくお願いします」しゃかりき丸は急がせたが、山田さんは、「別々の車で行くより、ぼくの車に3人とも乗ったほうがいいよ。そうしたら、説明が車の中でできるから」
それで、軽トラを工場の中に入れて、1台の車で出発することになった。
20分ほどして、山田さんは、「左の5階建てのビル!」と叫んだ。ぼくらはそのビルを目に焼きつけた。「あそこで一人下りた。外国人のように見えたがよくわからない」
それから、また30分ぐらい走った。「もうすぐ着くぞ。今度は道の反対側だ。ガラス張りのレストランが見えるだろう。その隣だ。そこに入っていった。ぼくが見たのはここまでだ」山田さんがそう言うと、「山田さん。忙しいのにありがとうございました」しゃかりき丸が礼を言った。
山田さんは、「さあ。戻ろうか」と言って、車をUターンさせて元来た道を戻った。

ののほん丸の冒険

第1章97
それから、三上さんの軽トラで今の道をもう一度たどることにした。今後どう調べるかを決めるためだ。
まず外国人が降りたところで軽トラを止めた。車から様子を見ると、小さなビルが3軒ある。
「ここをどうしようか」しゃかりき丸が聞くと、三上さんが、「わしが調べる。運送屋の格好をしてビルの中に入れば怪しまれることはない。子供がうろうろすると、怪しまれるからな」と言った。
「申しわけないです」ぼくが答えると、「わしは子供の時探偵ごっこが好きだったから、妙に楽しいよ。ただし、わしが捕まったら助けてくれよ。きみはビルに忍び込んで良平君を助けたらしいな」と言った。
「ぼくが捕まった時は良平が助けてくれました」と言うと、「それじゃ。二人でわしを助けてくれよ」と答えたので、3人は大笑いした。
「じゃあ。次のビルに行こうか」車が入ったビルに着いた。ビルは5階建てだが、派手な作りではなく、ビルの名前が出ているだけだ。
少し行ったところに喫茶店があるので、そこに入ることにした。
「あそこに佐々木たちがいるんでしょうね」しゃかりき丸が聞くと、三上さんは、「そうだな。しかし、わしは佐々木を見たことないから、何とか写真を取るから見てくれ」とぼくらの心配を先取りして答えた。三上さんは最高の司令官のようだ。
翌日から、ビルの見張りは三上さんに任せて、奥さんとしゃかりき丸とぼくはこれまでどおり研究所の見張りを続けることになった。佐々木たちが予測できない動きをするかもしれないからだ。
ぼくはミチコに今日のことを知らせた。もし三上さんが佐々木の会社を見つけてくれたら、名古屋の友だちにどんな会社か調べてもらうためだ。
ミチコは了解してから、おじいさんのことなどを話してくれた。
「おじいさんはちょっと弱っているけど、体調が良い時は二人で公園を散歩しますよ。おじいさんはその時にいろいろ話してくれます。
二人が戻ってくるまでは死ねないが口癖です。それから、ののほん丸が来てしゃかりき丸が変わったのが一番うれしいとも言っています。
テツやリュウがいたから悪いことをしなくなったが、それだけではほんとの人生とは言えない。
自分の人生は自分だけのものじゃ。自分を持て余していては自分の人生は作れないからな。
ののほん丸は、いろいろと苦労があったようだが、常に困難にぶつかっている。それが、しゃかりき丸を変えようとしている。
しょせん人は一人っきりじゃ。何が起きようが、一人で解決しなくてはならんとおっしゃっています」
ぼくは、「今はしゃかりき丸がぼくを引っぱってくれています」と答えたが、焦ってばかりいたが、少し気持ちが楽になった。
三上さんは、翌日連絡をくれた。ビルには20軒ほどの会社があったようだ。貿易会社という名前の会社なくて、物産とか電気とかいう会社はあった。
そして、佐々木の車はまったく出入りがなかったので、地道に見張るということだった。あのビルは三上さんに任せるしかない。
研究所のほうも動きがないので、しゃかりき丸もぼくも、山田さんやおばさんの世話になりながら見張りを続けるしかない。
そして、4日後ミチコから連絡があった。日本のマスコミにはまだ出ていないけど、ドイツのテロ組織の捜査から、世界中の研究者を集めていることが分かったそうだ。
しかも、テロ組織の方針で、大学や企業の研究者ではなくて、個人で研究している者を選んでいるというのだ。
日本でも行方不明になっている者を、従来の「特異行方不明者」といった枠を外して捜査することが決まったそうですという内容だった。
ぼくはすぐにそれを奥さんに伝えた。奥さんは話を聞くと、「ありがとう」と言って涙を流した。

ののほん丸の冒険

第1章98
奥さんは、翌日早く警察に行って、主人がいなくなった経緯や、佐々木と名乗る男たちが、何が目的か分からないがしばしば研究所に来ること。また、東京で同じように行方不明になっている人がいて、その人の知りあいである子供が来てくれて一緒lに探してくれていることなどを話した。
もちろん、佐々木がどういう人間か知るために、主人は意識不明の状態で見つかり今入院していることを佐々木に話すと、病院についてきたことなども忘れずに説明した。警察は親身に聞いてくれたそうだ。そして、研究所にも来てくれた。ミチコもすでに叔父さんのことを警察に説明したそうだ。
ようやく新聞にもそのことが載った。その結果、国内で9人の研究者が突然行方不明になていることが分かった。
奥さんやミチコの話によると、警察は姿を消した前後の状況に詳しく調べているようだ。
これなら捜査は順調に進んでいるように思われた。それで、3人で研究所を見張ることを休んで捜査の進展を見ることにした。
ぼくとしゃかりき丸はおじいさんのテントに帰れる日は近いなと話していた。
数日後、殺人事件が起こった。しゃかりき丸が三上さんに助けてもらった峠で二人の男が射殺されていたのだ。
一人は日本人でもう一人は白人だった。被害者はすぐには分からなかったが、数か月後に写真が新聞に出た。捜査は行き詰まったようで、心当たりを求めるためだろう。
ぼくらは日本人は佐々木だということはすぐ分かった。奥さんは佐々木という人物に似ていると警察に連絡した。
警察はすぐに佐々木たちが借りていたビルや部屋を調べたようで、他のテナントの人は、名前は分からないが確かにこの人がビルを出入りしていたと証言した。しかし、部屋はかなり荒らされていて、参考になるものはなかった。
白人が降りた場所でも捜査も行われたが、外国人を見かけた人はいなかったようだ。
もちろん、研究所には不審な人物が来なくなったから、見張ることを中止することにした。奥さんも言葉には出さないけど、残念そうな顔をしていた。
ミチコの叔父さんの行方も警察は捜査してくれていたが、こちらも進展は遅れていた。
奥さんは、「捜査は警察が全力でしているので、二人はおじいさんやミチコさんが待っている東京に帰ったほうがいいよ」と言いようになった。
ぼくらはうなずいたものの、加害者どころか被害者のこともはっきりしない間は次の行動を起こせないような思いがあった。
ぼくとしゃかりき丸は今度どうするかを話しあった。「佐々木を殺した犯人は誰だと思う」しゃかりき丸が聞いてきた。
「ご主人や叔父さんを監禁した組織が関係しているはずだ。しかし、犯人は佐々木とちがう組織か、あるいは同じ組織の者か分からないが」
「別の組織の場合は研究者を奪うために殺したのだろうが、同じ組織の場合はどんな理由で殺したのか」
「多分口封じのためかもしれない。捜査が迫ってきたので、監禁場所を知っているので、組織が殺すように指示を出したもしれない」
「すると、別の組織であっても、一つの組織であっても、日本にはかなりの数のスパイが入り込んでいるようだな」
「多分ね」
「おれたちはどうしたらいいのかな」
「警察が動いて、8人の研究者が無事に見つかったら、ぼくらは何もすることがない。それを祈るばかりだ」
「そうだな。東京に帰ったら、おじいさんから、『勉強して一人前の人間になれ』と言われているので、夜間中学でも行こうと思っているんだ」しゃかりき丸が初めて自分の夢を話したので、「それはいいことだ」と賛成した。
そのためにも事件が早く解決することを願ったが、翌日たいへんなことが起こった。

ののほん丸の冒険

第1章99
奥さんの家の郵便受けに何通かの郵便物があり、その1通が宛名宛先がなく、差出人の名前もなかった。奥さんは宣伝物かと思い、他の郵便物と一緒に開けた。
すると、1枚の写真が入っていた。写真を見ると、4、5人の男が写っているようだが、かなりぼけていてよく分からなかった。
1人は横向きだったが、他の男は背中しか見えなかった。横向きの男も顔の輪郭もはっきりしない。
奥さんはその写真をじっと見ているうちに動悸が激しくなってきたと言っていた。横向きの男は主人かもしれないと感じたのだ。
ぼくも何度もお家にあるご主人の写真を見ているが、確かに額が広いところは似ている気がする。しかし、あまりに不鮮明なので、よくわからない。
奥さんも、そうに思っているようなので、ぼくは、「警察に届けますか」と聞いた。
「でも、こんなに不鮮明では証拠になりますかね」と心配そうに聞いた。
「いや。今はコンピュータを使って不鮮明な写真でもきれいになるそうです」しゃかりき丸が言った。
「それなら警察に思っていきます。でも、誰がどうしてこんなものを持ってきたのでしょうか」
「佐々木と外国人が殺されたことと関係があるかもしれませんね」ぼくは頭に浮かんだことをつい言ってしまった。
「それはどういうことだ」案の定しゃかりき丸が体を乗りだしてきた。
「もちろん推測だが、これがご主人たちの写真なら、犯人はかなり急いでいるような気がするんだ」
「金が目当てか」
「それがよく分からないんだ」
「金が目当てなら、ご主人ならご主人の顔写真1枚でいいじゃないか。そして、写真に、『警察に言うな』とか『何千万円を用意しろ』とかの脅迫文が同封されているようなものだが、それもない」
「なるほど。ののほん丸が言うとおりだな」
「でも、ご主人が健在なのはまちがいなさそうですね」ぼくがそう言うと、奥さんはうれしそうに頷いた。
そして、奥さんは「すぐに警察に行きますょうか」と立ちあがったので、ぼくは「ぼくらも行きましょうか」と言ったが、奥さんは、「いいえ。一人で行ってきます」とよく言った。
とりあえず3人でかけ、コンビニで写真を5枚コピーして別れた。
奥さんの家に帰ることにしたが、しゃかりき丸は、「いよいよ動き出したな」と低い声で言った。
「警察が動いてすぐに解決すればいいけど、写真に何が写っているかだな」
ぼくは、すぐにコピーした写真をミチコに送ることにした。
そして、夕方覆面パトカーで帰ってきた奥さんの話では、殺人事件があった直後なので、警察は色めき立ったようだ。
郵便物が入っていた時の状況や近所の監視カメラなどでその時間の車の動きなどを調べるらしい。もちろん、写真の画像解析に力を注ぐと言っていた。
二日後警察から連絡が来た。しかし、思うような結果は得られなかった。
奥さんが言った時間帯にはそれらしき車が止まらなかった。ただ、通行した車のナンバーから所有者を探している。
それに、肝心の写真は特殊な加工がしてあって鮮明にすることができなかったのだ。
とりあえず警察が写真を見た。背景などは少しはっきりしたが、人物はそのままだ。特にご主人はそのままであった。これも、相手が意図したものか。
ただ、少し鮮明になった背景を見るかぎり、どこか外国にある部屋のように見える。
「今、ドイツなどの警察に問い合わせしています。もちろん、他の捜査は進めていますから」と言って警察は帰った。
「主人は外国に連れていかれたかもしれませんね」奥さんは沈んだ声で言ったが、ぼくは「まだわかりませんよ」と励ますしかなかった。警察からの連絡を待つしかないからだ。

ののほん丸の冒険

第1章100
翌日、ミチコから手紙が来た。どうして手紙なのか。いつものように電話をくれたらいいのにと思って、手紙を開けて読んだ。そこには奥さんを励ますことが書かれていた。それをしゃかりき丸に渡して、慌てて奥にいた奥さんを呼んだ。ぼくの声に驚いて、「どうしたんですか」とすぐに来た。
しゃかりき丸も手紙を奥さんに渡した。奥さんが手紙を読む間、ぼくは実際の写真を見た。それから、「これですね」と言って、二人に写真を渡した。確かに、建物の外には紫の花らしきものが写っていた。
ミチコの手紙には、「写真が1枚だけ入っていたのはどうしてでしょうか。これから、何か言ってきそうですね。
前にいる人がご主人の可能性があるのはとりあえずよかったです。
この写真が写されたのは外国かどうかということでしょうが、一つ気になるのは、奥に見える花らしきものです。もちろん、写真はぼやけているので断定はできませんが、北海道で見たトリカブトに似ているような気がします。とにかく警察の捜査が進んでいることを祈ります」と書かれていた。
三人とも黙ってこれからどうしたらいいのか考えていたら、ミチコから電話があった。
「手紙が届きましたか」とミチコは話しはじめた。
「ちょうど今届きました。手紙を読んでトリカブトのことを調べようと思っていました」
「違っていたらごめんなさい。学生の時、友だちとよく北海道を旅行しました。
植物は詳しくはないのですが、トリカブトは北海道特有の植物と聞いたような気がしたもので。
トリカブトは紫色の上品な花だったと思いますが、毒性が強く犯罪にも使われたことがあったので、よけい印象があります。でも、写真がぼやけているので自信はありません」
ぼくは何となく、「トリカブトをどこで見たんですか」と聞いた。
ミチコは、しばらく考えていたが、「どこか思い出せないわ。近くに温泉があったような気がするんですが」と答えるのみだった。
それから、ミチコと奥さんは長い間話した。その間、しゃかりき丸が、奥さんの家の書棚から植物図鑑を見つけて、「ダイセツトリカブト」という花を見つけて、ぼくに見せた。
ぼくは、「これかもしれない」と思った時、電話が終わろうとしたので、奥さんに、「ミチコさんと話をしてもいいですか」と頼んだ。
「今、しゃかりき丸が調べてくれたのですが、北海道特有のトリカブトと言えば、ダイセツトリカブトという花があるようです。
ミチコさんは大雪山に行ったことがありますか」と聞くと、「確かに行きましたよ。あちこち沼があって、高山植物がすばらしかった思い出があります。しかし、近くにヒグマがいると聞いて怖かったことも覚えています。そうだ。火山の煙が上がっていました」
「そこに、ダイセツトリカブトが自生していると書かれています」
「そうでしたか。植物好きの友だちが興奮していろいろ教えてくれたのですが、それが、ダイセツトリカブトなんですね。でも、写真の花がダイセツトリカブトかどうかは自信がないですが」
その後、おじいさんやテツ、リュウなどの様子を聞いて電話を切った。
奥さんは、「ミチコさんは写真をよく見ていましたね。5人写っていましたが、伯父さんらしき人はいなかったそうです」奥さんは申しわけなさそうに言った。
「ぼくらも写真でしか伯父さんを知らないので分かりませんが、また、何か手がかりが見つかるかもしれません」
「絶対そうです。主人と一緒にいたら一番いいですけど」
「これからどうしますか」
「すぐに敵を見つけに行くべきだよ」しゃかり丸が予想どおり口を挟んだ。
「私は警察に行ってもいいですか」と奥さんが言った。
「それがいいですね。ぼくらは大雪山に行ってきます」と言うと、奥さんは旅行の支度を手伝ってくれた後、札幌駅まで行って、旭川まで行く電車の時間も調べてくれた。
「警察が捜査してくれるかもしれませんから、絶対無理をしないでください」と奥さんは何回も繰り返した。
「分かりました」とは言ったが、ぼくとしゃかりき丸は、「絶対見つけてやる」と意気込んで電車に乗った。

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