ブレーキ
今日も、ムーズがやってきた~きみと漫才を~
「ブレーキ」
「アクセルより、ブレーキの使い方が大事や」と、みんな、自動車教習所でゆわれてきたけど、スピードが怖かったり、おもろなったりで、そんなことわからへん。
せやけど、慣れて、事故起こすと、ブレーキがもっときいていたらと後悔するわけや。
車にブレーキがなかったら、ドア開けて、足で、「けん、けん」しながら、止めなあかん。大昔、故障したミゼットなんかを、そんな風にして、道端へ持っていく人を、よう見たな。
ところで、動くものは、何でも、ブレーキがあると思うのは甘い。
船は、ブレーキはないで。ぼくも、1級船舶の免許取ったときは、 ブレーキがないから、止まるのが怖かった。どうして止まるかゆうたら、ギアをバックに入れるんや。
だから、何万トンゆう船は、大海原で、急に止まろと思うても、何キロもかかるんや。タイタニック号は、氷河で止まったけど。
ついでにゆえば、ヘリコプターが、救助なんかするとき、空中で止まっているようにみえるやろ。空では、ブレーキはきかへん。あれは、ホバリングゆうて、ヘリコプターが、上下左右にいかへんようにするのやけど、めちゃくちゃむずかしい。ぼくも、ヘリの免許をがんばっているところやけど、金が続かへんから、しばらく休みや。
そんなことは、どうでもええけど、動いてるもんで、ブレーキがききにくいものは、組織やな。
組織ゆうたら、夫婦、家族、会社などの人間関係や。それ自体、エネルギーを持っているから、なかなか止まらん。離婚は、結婚のときの何倍ものエネルギーがいるゆうやろ。せやから、早めにスピードを緩めるか、方向転換しかない。
組織は、車のように、「ファスート・イン、スロー・アウト」とゆう具合に、うまいこと、カーブ(危機)を曲がれへん。うまいことせんかったら、遠心力に負けて、どっかへ飛んでいってしまう。
なんでも、どんどんスピード出してるときはおもろいけど、止まる段になると、あわてるわけや。せやけど、「半クラ」ばっかりでは、勢いがでん。
ところで、一番ブレーキがきかへんのは、人間の心やろな。「心が動く」ゆうもん。
特に、「疑い」、「不信感」、「妬み」など、心の奥のほうから出てくるやつは、きかへんやろ。人によって、差がものすごうあるけど。
親が死んだんは、こいつ(叔父)が殺したからや、せやけど、ほんまやろかと苦しむハムレットのようになる。
ずぶずぶと、疑心暗鬼の「底なし沼」に沈んでしまうと、つかむもんがなくなる。
ハムレットは、「オフィーリア」がおったために、「やけくそ」にならんですんだけど、ええ人生を送るためには、やみくもに走ってしまう心のスピードを緩めたり、方向転換できんとあかんけど、なかなかむずかしいな。