寂しさ

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復活ノート

「寂しさ」
同じ経験をした人も多いと思いますが、経営が破綻した前後の感情は荒波のように胸を揺さぶりました。
観念して処理を弁護士に任せた時は、淡々と指示どおりにするだけでしたが、債権者集会がすむと、感情が止まらなくなりました。
もちろん社員は蜘蛛の子を散らすように辞めていましたから、会社の後片づけや返済の交渉などは妻と二人でしなければなりません。
それもすむと、自分の子供のように思っていた会社がなくなったという喪失感で胸がいっぱいになりました。
さらに、社員はがんばってくれたのに、自分は何をしていたんだという自責の念も湧いてきました。
すると、手続きを依頼した顧問弁護士から、「名前は売れているのだから、もう一度がんばったらどうですか」と言われたことを思いだし、そうすべきだったかと後悔の上塗りをして、また迷路に迷い込むのです。
すると、もう生きていけないと考えてしまいます(実際、同じ弁護士に相談していた経営者が、弁護士事務所の近くの駐車場で死んだことがありました。自分がおかれた状況から逃げ出したかったのでしょうか)。
私の場合は、死にはしなかったが、感情が少しおさまると寂しさに苦しめられるようになりました。
その後、励ましてくれた者と新しい事業をはじめました。20年間続けたのですが、本人は2年前急死したので、また立ち止まざるをえなくなりました。事業は、おとしより向けの新しい配色サービスを基本として、起業コンサルタントや介護コンサルタントをしていましたが、以前のように「全国展開」などということは考えていなかったので、以前経験した感情の噴出はありませんでしたが、逆に一気に寂しさにとらわれました。
結局、喜怒哀楽に分類される無数の感情は最後は寂しさになるのではないかと思います。怒りや悔しさも時間が立てば寂しさになるのです。
つまり、自分の心の寂しさとどうつきあうかが人生を決めるのです。
寂しさに負けてしまって自分を見失うのは論外ですが、寂しいことは自分と向き合うことだと思うと、寂しさを受けいれることができます。
一人ぼっちになれば今後自分は何をしたいのだろう、あるいは何をしたくないのだろうということが見えてくるのです。
そして、自分に恥ずかしくないように、一歩ずつ進んでいくのです。自分の失敗を生かすとは、こういうことだと思うのですがどうでしょう。
もちろん、友人や知人のアドバイスに耳を傾けることは大事です。それをどうするかは、一人ぼっちのあなたです。
私は73才です。心臓や目にも障害がありますが、幸い(?)一人ぼっちです。
お互い自分の人生を満足できるものにしていきましょう。