ディープヤング(2)
今日も、ムーズが降りてきた~きみと漫才を~
「ディープヤング」(2)
以前、介護保険が始まるずっと前から(昭和49年)、育児や介護の派遣サービスをしていたとゆうていたやろ(その後、派遣法ができて、若いもんをばかにした結果、社会はにっちもさっちもいかなくなったこともゆうた。人の恨みほど恐いもんはないで)。
それで、4,5年前から、最近の派遣労働はどんなもんや知るために、年に2、3週間派遣の仕事をしている。
若いもんと一緒に仕事をすることになる。いや、仕事を教えてもらっている。
みんな二十歳(はたち)前後やけど、ぼくの先輩になるわけや。少し親しくなると、言葉を交わすようになる。
「また飲みにいきましょうよ」
口の聞き方はていねいやし、仕事はきびしく教えてくれる(ジャニーズのような頭をして、眉毛を細くしているもんが多い)。
大学生もいるけど、自分を、高校を中退したニートやと自嘲するもんもいる。せやけど、仕事はまじめや(ニートがそんなに働くかゆうぐらいに働いている。1月300時間も働く)。
自分の親より年上のもんに、物を教えるのはうっとおしいやろと思う。せやのに、気を使うて、コーヒーまでおごってくれる(ぼくは、ようせんかったやろな)。
「いいですね。若い人と飲みにゆくのは久しぶりやな」
こっちも、口の聞き方に注意してしゃべるようにしている。
「だいぶ飲むんすか」
「年取ったら減ったけど、若いときは一升ぐらい飲みました」
「一升て?」
「こんなビン知りませんか」とジェスチャーをしたけど、想像がつかんらしい。
今は、一升ビンどころか、ビールビンもあんまり知らんやろな(祝いごとは、アルミ缶ではあかんとこだわる親は少ないやろ)。
この前、ある会社の受付の赤い女性が、「何回も電話したんですか」とゆうたんで、ここぞとばかりに「交換手が、線まちがったんとちがいますか」と笑わしたんやけど、はあ?とゆう顔をされた。
料理が好きやゆう男の子がいたので、「どんな本を使っているんですか?」と聞くと、「料理の本てあるんすか?」、「いろいろありますけど、何を見ているのですか?」「ネットです」と話が続いた。
まあ、しゃあないな。ぼくが社会から遅れているんや。
「それなんすか」攻撃にも、好奇心の発露やと思うたらええ。若もんの特権や。
また、「保証人とは、お宅が悪いことをしたら、弁償してくれる人です」とゆわれても、そんなことゆうかと思わずに、今は、はっきりとゆう時代やと考えることにしている。
「今、主任が帰りましたけど、あなたならおわかりだと思いますが、主任の私物がありますから、また帰ってくると思います」とゆう若い子もいた(「気を抜かないでくださいね」とゆう忠告や)。
主任も、ぼくの息子ぐらいの年令やけど、若いもんから慕われているのがわかる。
「人となりは、世代や年令ではない」とゆうのが、ディープヤングの感想や。
若いもんも、ぼくと話をして、としよりも、ぼくらといっしょの人間やと思うてくれるやろか。
飲みにいく約束した二十歳の先輩は、「休憩室の電気、つけっぱ(なし)かもわかりません。ちょっと見てきます」とゆうて走っていった。