マニュアル
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復活ノート
「マニュアル」
若いとき、マクドナルドで正社員として働いた人に聞いたことがありますが、マクドナルドの「マニュアル」は(多分どこでもでしょうが)、何千ページもあるそうですね。
アメリカは世界中から人が集るので、当然、文化や生活習慣がちがいます。それで、マニュアルは必要不可欠なものとなっています。
その人は豊中か箕面かで店長をしていましたが、エアコンが故障したことがありました。電気関係は何も知らなかったのですが、屋上に上がって、マニュアルを開いてゴソゴソすると修理できたといいます。
日本の企業でも、外国人がいなくてもマニュアルが作られています(特に、食品関係の企業では、同じ味にするためには、レトルト入りの材料を、マニュアル通りに作らなくてはならないとのことです)。
私も、全国に数十ヶ所の営業所がありましたので、せっせと心構えや仕事の進め方のマニュアルを作りましたが、本社で採用した若い女性が、上司が横にいるのに、マニュアルがないので仕事ができないと言ったことがあります(それを聞いて、経営についての自信を失くしました)。
フランチャイズシステムで店舗を増やしている企業は契約やマニュアルが命です。
商売そのものを売る、買うということがフランチャイズだからです(本部の許可がないと弁当の安売りなどは認められないのです)。
昔、アメリカ流のフランチャイズは育たないといわれていましたが、今やどこでもあります。しかし、飽和状態になり、売上げも減ってきているようです。
ともかくも、コンビニは、マニュアル社会の申し子です。
先日、久しぶりに京都をぶらぶら歩きました。繁華街は日本の繁華街と区別がつきませんが、少し離れた通りは京都らしい雰囲気が残っています。
私が、40年前にいた町には、仏壇屋やお寺関係の店はそのままありました(駐車場の契約者名には、「袈裟匠××屋」というのもありました)。
そして、なつかしい「力餅食堂」が残っていました!
ここでよく丼物を食べました。調べてみると、「力餅食堂」は、「暖簾分け」でどんどん店舗を増やしていきました。共同仕入れはするけれど、ロイヤルティーはいらず、自分の裁量で店を切盛りするのです(もちろん、マニュアルなどはありません)。
店の人も、客ものんびりしていました(最近は、それこそコンビニや弁当チーンに押されているようですが)。
ところで、QOLという医学用語があります。「普通の生活ができること」といった意味ですが、病気や老化で、食事や排便などができなくなったときの指標になります。
しかし、老人には、また別のQOLがあるように思います(「あじけなさ」を加えたものです)。
コンビニには行かなくても、バギーを押してスーパーや個人の店には行きます。
しかし、個人の店はどんどん廃業するし、スーパーは、物がありすぎて何を買ってわからないのです。それで、巻きずしとか菓子パン、缶詰だけの食事になります。
人だけでなく、スーパー、コンビニでさえ、その町で孤立しているように思えるときがあります。
どんな事業でも、マニュアルの向こうにあるものを探っていけば、成長できるような気がします。