趣味ビジネス
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復活ノート
「趣味ビジネス」
世界不況が始まると、まず景気の調節弁だった派遣労働者の仕事がなくなりました。
しかし、景気が戻ってきませんから、今度は新卒者の就職に影響が出ています(最近死んだ義父も、3人の子供に事業を任せていますが、最後まで、「人を入れるなや」と言っていました)。
いわゆる「就職氷河期」は、今後5年、6年と続くといわれていますから、学生も浮き足立って勉強どころではないでしょう。
大学側にも存亡の危機が続いています。
10年ほど前から少子化を切りぬけるために共学化や学部の増設を進めてきましたが、今度は未曾有の就職難に巻きこまれたのですから(大学は学問を教えるところで、就職を斡旋するところではないと開きなおる大学はないようです)。
それを乗りこえたのが秋田県にある「国際教養大学」だと思います。英語で行われる授業は徹底的にビジネスに特化しています。
即戦力をもった卒業生は、新たなビジネスチャンスを探している中小企業に歓迎されるそうで、就職率は100%と言われています(ただし、4年で卒業できるのは半分ほどしかいないそうですから、生半可な考えでは入学しないほうがいいようです)。
それに追随する大学も増えそうです。つまり、「一億総白痴化」を真似れば、「全大学総専門学校化」です。
それならと、本来の大学をめざす専門学校は出てこないでしょうか。つまり、就職のことなどに背を向けて、徹底的に学問を教える専門学校です。
遠い将来には、生産に従事するのは世界の労働力の3%ですむそうという予測もがあるそうです。
仕事という、生きていくための必要悪はなくなるのです。古代アギリシャ時代のように、労働はすべてロボットがやってくれます(当時は外国からつれてきた奴隷でしたが)。
そして、一日中「真の幸福とはなにか」、「国家はどうあるべきか」というような議論をすることができます。
そういう形而上学を好まない人には、趣味の講座を作ってください(私は、鎌倉時代から江戸時代まで続いてきた「候文」を勉強したいと思っています)。
そんな暇はないよ、ですか。バーナード・ショーかだれかが、「仕事の最大のメリットは、今日何をしようかと考えなくていい点だ」と言っていました。
いや、仕事こそ人間を作るのだ、ですか。趣味の先生も、長い間に血がにじむような努力をしてきています。その背中を見て、人生を学ぶことができます。
何千とういうおとしよりを見てきましたが、どうも長生きを手放しで喜べない場合があります。