経営の転換

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復活ノート

「経営の転換」
先日、社長自らが、テレビのコマーシャルに出て、「お試しの化粧品を送っても電話しません。自信があるからです」という化粧品会社が、社員から裁判を起されました。
デパートに出している、100以上の直営店を廃止するときに、社員の雇用を保証しなかったということらしいですが、会社の決定についても電話しなかったようです。
日曜日に入る求人連合チラシが減っています。私が、毎日通るコンビニに張ってあるバイト募集の時間給も、50円ほど少なくなっているような気がします。
どこも人件費を落として、生きのころうとしているようです。
この世で一番厄介なのは人間関係だと言えば、誰も納得すると思います。しかし、それがあるからこそ、自分が一人前になることができるのだということも、大抵の者はうなずくでしょう(誰の世話にもなっていないと言っても、最後にはそういうわけにいかないことがわかることでしょう)。
「人を使うは苦を使うこと」とも言います。職場は、多くの人の思惑が絡んでいる場所なので、特に人間関係が複雑です。
そして、この不況です。派遣切り、サービス残業、内部告発など、いつも社員にモラルを求めている会社のモラルが問われているのです。
そうであれば、「苦」は、経営者がわざわざ作っているところもあるように思います。
経営のためなら、何をしてもいいといったような意識があるのでしょうか(酒の上なら、何でも許されるといったような)。
説明をしないと、配置転換、仕事量の増加などが、「いやがらせ」とうつる場合が少なくありません。
私たち中小企業の場合は、良くも悪くも「会社は自分のもの」なので、「子供のようにかわいい」のです。
外国のように、会社を大きくして、売り飛ばすなどということは考えもできません。
私も、会社を破産させたとき、わが子を亡くしたように思いました(6年目の今も、まだそこから立ちなおっていないよう気がするときもあります)。
ところで、例年自殺者が3万人を超えていますが、昨年は中高年より、30代の若者のほうが多かったと報道されていました。ほとんど「うつ病」とのことです。
仕事・職場の問題が引き金になっているかも可能性があります。社員も、心を病むほど悩んでいるのです。
廃業を考えている同輩へ。確かに、会社はあなたのものですが、最後の最後、社員に経営を任してみる選択肢もあります。
出来が悪い子供を世間にさらしたくないとか、自分の経営能力をとやかくいわれたくないといった気持ちは、この際捨てませんか。
そんな会社ならと逃げる社員もいるかもしれませんが、「薄々知っていましたが」と、日頃の思いを話してくれる社員もいるでしょう。
任せ方は、相談をして決めたらいいのですが、私は、あのとき、すべて任せてみたらよかったと思います。
とにかく、破産の手続きも厄介ですが、その後の道も険しいです。
前回は商売の転換をおすすめしましたが、今回は経営そのものの転換です。