会社を売買するビジネス

   { }

復活ノート

「会社を売買するビジネス」
25才で念願の会社を作ると、天下を取ったように思ったものです。
それからが苦難の道でしたが、貸しビルにある3坪の事務所でも、一国一城の主という思いが、アルバイトをしながらも利益が出せるまでがんばることができたのだと思います。
苦労をともにすると(妙な表現ですが)、会社が、どういうわけか、妻ではなく、わが子のように思えてくるのです(リクルートの創業者も、会社が娘以上にかわいいといってはばかりませんでした)。
そして、他の子供(?)より出来が悪くなると、何とかしてやりたいという思いが募るようになってきます。
数年前から食品偽装などが起きています。もちろん、金儲けをしようと企んだ者が起した事件ですが、中には、「わが子」を殺したくないばっかりに、悪に手を染めた経営者もいたことでしょう(どのような偽装事件も、法律違反をしているのですから厳しく罰せられるのは当然ですが)。
ある鶏卵会社の創業者は(当時は会長でしたが)、鶏インフルエンザが起きたとき、それを隠して出荷をして罪に問われました。
結局、自宅で夫婦が首吊り自殺をしましたが、遺書で、社員に給料をちゃんと払ってくれと、息子である社長に言いのこしていたそうです。
私自身も、食品会社ではなかったですが、ある法律違反を起して、今に到るですが、鶏卵会社の創業者は会長の気持ちは痛いほどわかります。
しかしながら、一つの会社や経営者のかわりははいくらでもあるけど、社会は一つだということです。
私は、そういうことを起こす前に、大事なわが子を、だれか買ってくれないかと思ったことも確かです(しかも、銀行などで保証人になった分はちゃんと自分で払ってでも)。
しかし、どんな特許や技術を持っていない赤字会社など、誰も買ってくれません。
言い訳も少し交えて言えば、経営者にも、好況のときに強い者もいれば、不況のときに底力を見せる者もいるということです。
経営者だけを見るのではなく、その会社が、今後社会で生きていけるかを判断するビジネスが求められているはずです。
その会社の社員の中にも、会社が残るのなら、どんな苦労もするという思いを持っている者もいるでしょう。
この大不況で、アメリカの大企業も身売りをして生きのころうとしています。
吹けば飛ぶような会社にも創業者の夢が詰まってはずです。
それに新たな命を注ぐビジネスをする人はいませんか。