一流
{ }
復活ノート
「一流」
私たちは、安定したサラリーマン生活を捨てどうして事業をはじめたのでしょうか。
私も、サラリーマンに向いていないと公言していましたが(確かに人の注意を真面目に聞かないところがあります)、事業を成功させてお金を稼ぎたいというのが本音でした。
お金があれば、多少の贅沢ができて、妻や子供を幸せにすることができると思いました。
実家が裕福でなかったので(今考えれば世間並みの貧乏でしたが)、そういう気持ちはかなり強かったのです。
そういう考えの者は、世間には何万、何十万といるでしょうが、ほとんどの人は最後の踏んぎりができないでしょうし、事業をはじめても、終生無事に終える人はほんの一握りだと思います。
ましてや世間に認められたり、経済を動かすほどの経営者になる人などは数えるほどしかいないでしょう。
野球やサッカーなどのプロスポーツ選手になりたい子供も、何万、何十万といるでしょうが、技量が客観的に判断されますので、ほとんどの子供が自らあきらめるでしょうが、事業のほうは、資金と勇気があれば、誰でもプロ経営者になれるのです。
しかも、プロスポーツの場合は相手にどう勝つかということですが、経営の場合は、自分にどう勝つかですので、最初はそれがわかりません。
事業が順調に大きくなれば、見るべきものが増えます。自分の性格が半径10メートルしか見ることができないのに、半径100メートルもの規模になればどう見るのか。
事業が拡大して、途中で失敗する原因はここにあります。何でも自分一人がやらなければ気がすまない、あるいは、部下任せにして何もしないので、経営は傾いていきます。
しかし、復活をめざす人は、自分の失敗を分析しているはずです。
私の場合は、人の恨みを買うようなことを平気でしてきました。それで、苦境に立ったとき、人は離れていきました(もし、反対の性格であれば、人は喜んで助けてくれたかもしれません)。
今回の津波で、家族も家も失くした人がいっぱいいます。ほんとにお気の毒なことです。
私たちの事業の目的が、家を建て、家族とともに幸せに生きることだったら、事業に失敗したことなど、津波で何もかも失った人から見れば、何の不幸でもありません。家族も家もあるのですから。
失敗してよかったと思えるほどの復活をしようではありませんか。
そして、若い人をどんどん雇って、途中で路頭に迷わせない職場を作りあげようじゃないですか。
二流、三流の経営者は、失敗を経験して一流になれるのです。もちろん、人間としても。